IV-1-2-3. 車いすを使用しない肢体不自由者
肢体不自由者とは、上肢、下肢または体幹の機能に永続的な障害を有する者のことをいうが、このうち、車いすを使用しない肢体不自由者は、歩行に困難又は危険を伴う機能障害を持ち、杖や手すりなしでは歩行が不可能な者、独歩が可能であっても下肢に何らかの障害を有する者または上肢に障害のある者などである。
船舶等利用上の主な移動制約としては、
1 段差や斜面の移動が困難であり、足先がひっかかると転倒の危険がある。
2 ゆれに対して転倒の危険がある。
3 松葉杖使用者は幅の狭いところでは歩行が困難であり、一定のスペースが必要である。また、杖の先が滑ると危険である。
4 細かい動作がしにくい。
などがあげられる。
松葉杖使用者の場合も体力的負担が問題となる。また、移動の際に他のターミナル利用客から見られること等による精神的負担も小さくない。総じて肢体不自由者にとっては、垂直移動箇所などの体力的・精神的負担を軽減することが最大のニーズである。
IV-1-2-4. 視覚障害者
視覚障害者とは、身体障害者福祉法によると、一定の視力障害と一定の視野障害を総称したものを指し、まったく見えない者から、光は見えるが矯正が不可能な者、矯正をすれば大型の活字や周囲の状況のわかる者まである。
船舶等利用上の主な移動制約としては、
1 歩行の際には歩幅、杖、足裏の感触、音などに頼っている。
2 ゆれに対して方向性のずれ、転倒の危険がある。
3 施設、設備の形状、位置を確認することが困難である。
4 通常の文字等や標識などの読み取りが不可能あるいは困難である。
などがあげられる。
IV-1-2-5. 聴覚・言語障害者
聴覚障害者とは、身体障害者福祉法によると一定の聴力レベル障害と普通話声の語音明瞭度の障害、平衡機能の著しい障害を総称したものを指し、音のまったく聞こえない者から、聴力に軽い低下の見られる者まである。また言語障害者とは、音声機能と言語機能又はそしゃく機能の喪失または永続的な著しい障害を総称したものを指し、話すことが不可能あるいは困難である。
船舶等利用上の主な移動制約としては、
1 音が聞こえないため視覚、嗅覚、触覚などに頼っている。