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IV-1-2-2. 車いすを使用する肢体不自由者

肢体不自由者とは、上肢、下肢または体幹の機能に永続的な障害を有する者のことをいうが、このうち下肢の体幹の機能に障害を持ち、補助具として車いすを使用する肢体不自由者(以下「車いす使用者」という)の船舶等利用上の移動制約としては、

1 平地での移動は可能であるが、段差を越えることは困難であり、勾配の急な斜面は登れない。

2 ゆれに対して転倒や、車いすの暴走の危険がある。

3 幅員の狭いところでは移動が困難である。(標準型車いすの各部分の寸法はJIS規格で全幅63cm以下、全高92cm以下)

4 車いす使用者の動作は肩を支点としており、手の届く範囲が限られている。(図表IV-1参照)

などがあげられる。

 

図表IV-1 車いす使用者の上肢の到達範囲(成人男子の場合)

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出所:「公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン」 平成6年3月、運輸省

 

車いす使用者の場合、車いすの重量が8〜18kg前後(標準型車いす)という機器の特殊性からみて、体力的負担がターミナル利用の際の困難につながっており、また、移動の際に他のターミナル利用客から見られること等による精神的負担も小さくない。

また、近年電動車いす(重量概ね60〜90kg、JIS規格 全幅70cm以下、全高109cm以下、全長120cm以下)の普及等に伴い、車いすが大型化・重量化する傾向にあり、従来の標準型(手動)車いすへの対応だけでは不充分となることも考えられる。

車いす使用者にとっては、垂直移動箇所などの体力的・精神的負担を軽減することが最大のニーズである。

 

 

 

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