(3) スペシャル・トランスポート・サービス(STS)
1] スウェーデンにおけるSTSの発展

スウェーデンのSTSは、1950年から慈善団体によってマルメ市で開始されたのが最初とされている。
表5-4-3-1 県、市レベルの自治体が責任を負う主な業務
・社会サービス
・都市計画
・交通
・環境保護
・救急
・治安維持と安全
・学校
・建築
・健康
・ゴミの集
・上下水道
※医療は県の管轄。
STSの実施は、県、市レベルが対応しており、STSの歴史を見る場合、地方自治体による取り組み経過を把握することが有用である。法律により県、市レベルの自治体が責任を負う主な業務は表5-4-3-1の通りである。地域交通の実施が、県と市の役割として位置づけられている。
現在では自治体が取り組んでいるが、STSの歴史的な展開は表5-4-3-2のような経緯を歩んでいる。
1970年当時の自治体数が多いが、これは1862年当時の法令(ordinace)により教区単位に分かれていたため、2,500もの自治体が存在していたことによる。
表5-4-3-2 スウェーデンにおけるSTSの歴史

以後、法律の改正を繰り返し、2000年の1月1日スウェーデン教会が政府から分離したことにより、教区の行政権限はなくなり現在の289の自治体に再編されることになった。その内訳は18の県と2つの地域(県と同じ機能を持つレギオンという行政単位。文献によっては県と表記しているものもある。)、県に属さないコミューンが1つ、および県に属する268のコミューンである。
5-2において前述したが、1998年のSTS法は、自治体がSTSを提供する義務があることを明記したものである。同時に障害者にはサービスをうける権利があることを明確にした。同法は、STSの提供の視点が、これまでのTask of Care (介護提供の任務)からTask of Transport (交通サービス提供の任務)へと変わったことに特徴がある。
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