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●その場に適した介助を行う

その場に適した介助を行うためには、まずお客さまに介助方法を聞くことが大切です。このマニュアルに示された事項はどれも基本的なものです。適切な介助を行うためには、ある程度の経験も必要ですが、お客さまのニーズに合わせて基本事項を応用し、安全を最優先した介助を行うよう、日頃から心がけましょう。

●無理なことは行わない

介助者が体力的もしくは安全面で無理と思われる介助は、思わぬ危険を引き起こす可能性があります。無理そうなことは自分だけで対処せず、必要ならば同僚や周囲の人に協力を求めることも考えます。また、どうしても困難な場合は事情をお話して介助をお断りする場合もあります。

 

2] より安全により快適に-接遇・介助水準の向上を目指して-

ここで扱う介助方法は、基本的かつ一連の介助に対応できる最低限の内容を網羅的に取り上げたものです。事業者によって、施設の状況が異なったり、対応しないことになっている介助方法も含まれています。また、障害のあるお客さまや高齢のお客さまにとっても、一様の方法で介助する事は、必ずしも安全で快適とは言えません。

お客さまに対する接遇・介助の水準を向上させていくには、今後は、お客さまから寄せられた意見や苦情に対して、的確に対応していくことが必要と考えられます。指摘を受けた点について、検討し、業務において改善できる部分は優先的に取り組むという、フィードバックのプロセスの確立が欠かせません。

このマニュアルで学んだ基本的な内容を、お客さまや施設の状況に応じて工夫する事が大切です。むろん安全が最優先されることは言うまでもありません。各事業者の実情に応じてより効果的に活用し、接遇・介助水準の向上に心がけます。

 

3] 緊急時の対応について

緊急時には大きく分けて2つあると考えられます。何らかの原因による遅延、運休などの場合と、ターミナルや車両が事故や災害に巻き込まれた場合です。

遅延、運休等の日常的に起り得る頻度が高いものについては、実務編で示したように、的確な案内放送や掲示、メモを手渡すなどの対応で、ある程度カバーすることができると考えられます。案内内容等の詳細は事業者ごとの対応方法に基づいて行います。

一方で、事故や災害に巻き込まれるといった、避難が必要になるような緊急時は、安全かつ迅速な対応が求められます。乗務員や緊急要員がすぐに対応できるとは限らないので、状況に応じて周囲のお客さまの協力を求めることも必要になります。本書では、そうした緊急時の対応は、別途詳細な検討が必要という理由から、接遇・介助の範囲としていません。各事業者ごとの危機管理マニュアルの中に、高齢や障害のあるお客さまなど、逃げ遅れる可能性のある人への対応方法が明確に位置づけられることが必要です。

 

 

 

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