これを実験1とした。別の実験として、ホームの内・外方の情報を伝えるための1つの案である異種2列ブロックを敷設した場合(詳細は、2.5(6)3]参照)について、白杖や足で確認して方向を識別する課題を設けた。これを実験2とした。これに合わせて、現行の誘導・警告ブロックに関する周知の程度を調べるための簡単な聞き取り調査(以下、ブロック周知度調査とする。詳細は、2.5(7)(g)参照)を行った。
以下に手順の詳細を示す。
(1) 教示方法
実験の教示はあらかじめ作成された教示文章(資料編2-4参照)にもとづき、全ての被験者において同様に行われた。
(2) アイマスク
全盲を条件に募集をしたが、今回の被験者の中には光覚弁と指数弁の人が含まれていたので、視覚的手がかりを使用できないように全被験者にアイマスクを着用してもらった。
(3) 靴
実験時に着用する靴は、鉄道を利用するときによく使用している履きなれたものとした。
(4) 白杖
白杖は普段使用しているものを使うように指示した。
(5) 歩き方
試行中の歩き方は、駅ホーム上を移動しているときと同じように歩くことを指示した。なお、歩行の方向は、ホーム縁端およびホーム縁端を知らせるブロックに対して直角の方向とした。歩行の方向をブロックに対して直角としたのは、ブロックを直交縦断した場合にブロックの縦断距離が最短になるためである。進入角度を変えればブロック幅が広がることになるので、直角に進入することはより厳しい条件であると判断した。
(6) ブロックの敷設条件
表3.1に示すように、ブロックの敷設条件は、ホーム縁端を知らせるブロックの敷設幅と、そこに直角に進入する歩行路の誘導ブロックの有無の組み合わせで合計8種類とした。これは、試験の条件の数が多くなりすぎると、被験者の拘束時間が長くなり、被験者に対する心身両面の負荷が大きくなり、妥当なデータが得られないと判断したためである。
1] 誘導ブロックの有無について
誘導ブロックの有無は、実際の駅ホーム上における移動場面を想定して設定した。
階段またはエレベーターとホームとの合流地点の警告ブロックからホーム縁端の警告ブロックに進入する場面では、その間をつないでいる誘導ブロックから警告ブロックに進入する。一方、ホーム上の多くの場所においてホームの内側から縁端側に進む場面(例えば、乗車する場面)では、ブロックの敷設されていない床面から警告ブロックに進入する。