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しかし、このマイナス分は、後述する出費節減努力で十分埋め合わせできると思う。

テーマの絞り込み−規模縮小の第1のポイントは、シンポジウムのテーマの絞り込み、言いかえると、論文数の絞り込みである。これまでのISMEは、どちらかと言うと包括的なテーマを掲げて多数の諭文を集めるスタイルであった。これと対称的な例として、昨年5月にニューヨークで開催されたICMES/SNAME共催のコンファレンスがある。環境保全、ガスタービン、電気推進の3点にテーマを限定し、各テーマごとにAdhock(その場かぎりの)委員会を設置し、それぞれの委員長が中心となって、その道の権威や専門家を選び出し、講師もしくはパネリストとして招聘するという方法をとった。参加者は100名程度だが、斯界をリードする高いレベルのコンファレンスであったと聞いている。

ISMEの場合、150編を超す論文を最大6室並列セッションで消化するという大掛かりなシンポジウムのあり方は、そろそろ見直すべき時期にある。広く論文を募集し、集まり具合を心配しながら論文審査を行うという手順もこの機会に見直し、上述のICMESのような能動的なやり方を加味する必要があろう。この傾向は、すでにISME 2000でも、ガスタービンのパネル討論などに現れていたように思う。

会場−会場の選択は、予算に大きく影響する。シンポジウムの規模縮小を迫られ、ひいては予算を縮小せざるをえないとなれば、借用料が安い会場を探さなければならない。大学の施設は、地味ではあるが、今後のISMEに最も相応しいと思う。大学関係者の協力をお願いしたい。

電子化−分厚い論文集はISME 2000が最後で、ISME 2005ではCD-ROMかDVDになると、誰もが確信するであろう。また、アナウンスメント、論文募集、論文提出などがすべて電子化され、インターネットやe-mailを活用して交信されるようになる。プレゼンテーションもコンピュータープロジェクターで行うのが当たり前という時代になろう。その結果、事務処理の能率が格段に上がり、大幅な費用節減が可能になると思う。

行事−技術見学会、レディーズプログラム、歓迎パーティー、バンケットなどについて、費用対効果を勘案して規模の見直しが必要であろう。とくにパーティーやバンケットは、「ご馳走は少なくても会話を盛り上げる」欧米スタイルを、少しづつ見習った方がよい。

展示会については、シンポジウムと併設することの意義を、改めて確認する必要があろう。また、展示会を日本舶用工業会などと共催する案、希望する企業に展示・説明会・パーティー等のPRチャンスを提供するという発想法なども、検討に値すると思う。

出費節減−出費節減につながる項目として、すでに述べた会場、電子化および行事の見直しのほかにも、同時通訳の廃止、代理業者への委託項目の削減など、かなり大きい額になりそうなものがある。いずれにせよ、ISME事務局が中心となって、抜け目のない管理会計を行うことが肝要である。いわゆる予実管理を徹底するとともに、常に全体を把握する大局観を持ち、一旦決めた予算も要すれば変える柔軟性を失わないように留意すべきである。

ISME事務局−顧問委員会で提起された「学会内にISME事務局を置きボランティアやアルバイトを活用して運営する新しい方式」は容易でないが、関係諸賢の英知を結集すれば実現出来ると思う。ISME 2005に関して筆者が抱いているイメージは、次のようなものである。

(1) まず、ISME 2005準備委員会を発足させ、基本事項を決める。

(2) 学会事務局の一画に、ISME 2005事務局の場所をとる。

(3) 2003年を目途に、正式な実行委員会と、その下部機構として総務・論文・行事各委員会を発足させる。これまで以上の自由度で、幅広く人選を行う。とくに、やる気がある若い人の参画を求める。

(4) 併せて、テーマ、会場、時期等を決め、1次アナウンスメントを行う。

(5) また、ボランティア職員を募り、当面、2名程度を採用する。ボランティアはシニアーを歓迎するが、ITに習熟したPlaying Manager型の人が望ましい。その中からISME 2005事務局長を決める。ボランティアには、少なくとも交通費程度は支給したい。そのほか、必要の都度、アルバイトを断続的に採用する。

 

 

 

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