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展望

 

ISME 2005にむけて*

 

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会長 青木雄二郎**

 

ISME 2000 TOKYOは、レベルの高い論文や講演が多く、予想を上回る盛況であった。また、円滑な会議・行事の運営に対して諸外国の参加者から高い評価を戴き、かつ、その成果を評価する声が国内においても数多く聞かれた。確かに、ISME 2000 TOKYOは成功であった。改めて関係者の絶大なご努力と参加者のご協力に対し、深甚なる敬意と謝意を表する。

さて、ISME 2000 TOKYOの閉幕に際して、別れを惜しみつつ再会を約束し合う挨拶があちこちで交わされたが、その中で「次回のISMEは何処でやるのか?」と質問する参加者が少なくなかった。前回のISME 1995 YOKOHAMAのとき、「次回は東京で開催する」と高らかに宣言した記憶が残っていたためであろう。しかし、この質問に対して明快な答を返すことができず、まことに残念であった。

実は、シンポジウム開始の1ヵ月ほど前の2000年9月11日に、ISME顧問委員会が開催され、佐藤準一ISME 2000組識委員長(前会長)の司会のもと、委員として大江卓二・今井清・内海博・福垣敦男各名誉会員(元会長)と現会長の筆者が、今後のISMEについて話し合った、その際に、ISME実行の核となる幹事団体に重い負担がかかるという問題点が指摘された。事実、ISME 2000の場合は日本海事協会、1995年は東京商船大学、1990年は神戸商船大学にISME実行委員長やISME事務局長等の要職を務めて頂き、かつ、団体挙げての奉仕活動をお願いすることによってISMEが成り立ってきた。一方、学会を支える大学・研究機関・民間会社の現状を見ると、全体的にスリム化が進み、また学会活動に詳しい人たちが少なくなり、その結果、学会活動の支援が大変難しくなってきている。現に、ISME2000における日本海事協会関係者のご苦労は計り知れない。このままでは、ISME 2005以降の開催が危ぶまれるという危機感を持って、真剣な意見交換が行われた。

その結果、顧問委員会が導き出した結論は、要約すると下記の3点であった。

(1) 多くの苦難があろうとも、ISMEは継続すべきである。

(2) そのためにシンポジウムの規模を縮小することも、やむを得ない。

(3) 幹事団体に依存しすぎる運営スタイルを改め、学会内にISME事務局を置いてボランティアやアルバイトを活用して運営する新しいスタイルを検討・模索する。

上記の顧問委員会の結論に沿って、筆者は、来るべきISME 2005のイメージを探り求め、また、ISMEを末永く継続して行くための方策について思考してみた。ここに考え方を紹介させて頂き、会員各位のご参考に供したい。

規模の縮小−過去6回のISMEを通じて、国際シンポジウムを定期的に主催する我々の力量は、世界のマリンエンジニア達から十分に認められた。今や、量より質が求められる時代の趨勢の中で、ISMEもまた、学術的に密度の濃い、手ごろな規模の国際シンポジウムヘ転進を図るべきであろう。実行に当たる幹事団体や会員に過大な負荷が掛かる現状を考えて、それが妥当である。また、予算の面でも、助成等に頼りすぎてはいけないという事情がある。

規模の縮小は論文数や参加者数の減少につながり、その結果、参加費の減少を招く倶れがある。

 

*原稿受付 平成13年1月9日

**社団法人 日本マリンエンジニアリング学会 会長

正会員 エヌケーケー総合設計株式会社

(横浜市鶴見区弁天町3)

 

 

 

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