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海洋利用に関するテクノロジー(PD-4)*

PD-4 Technology in Ocean Utilities

 

石田憲治**

 

“海洋利用の技術”に関するパネルディスカッションが10月26日午前10時から12時まで、都市センターの601号室で開催された。

このパネル討論会を企画するにあたって、海域の深さと関連した技術開発動向に準じてテーマを構成した;

・浅海域では水質浄化、漁業生産に寄与する深層水の利用法。

・浅海、深海を問わずに海上の空間利用に関して、波浪のエネルギーや太陽エネルギーの変換技術そしてそれらの防災への活用法。

・現在、地球環境問題の一つである二酸化炭素の最新深海底貯蔵技術。

・稼動している石油生産リグに関連した安全性、オペレーターの健康、リグ周辺の環境管理システム〈HSE)の現状と、将来の動向。

発表は大内氏(大内オーシャンコンサルタント)、鷲尾氏(海洋科学技術センター)、Kvamme氏(ノルウェー・ベルゲン大学)、Treasure氏(日本海洋掘削)の順で行い、議長役は綾氏(運輸省船舶技術研究所大阪支所)と筆者が会を進行させた(写真1)。

大内氏からは、‘Fertilization of the Sea with Deep Ocean Water Upwelling Machine’の題で、魚の生態系と深層海水との関連そして深層海水の物性が紹介された。次に、限定された海域を肥沃化することを目的とした深層海水汲みあげ機器の実績を、三重県五箇所湾での直径4mのインペラー実証試験の成果が説明された。これらの実績を基に1日に3000万m3の深層水汲みあげ、OTECを利用したエンジンプラントを稼動させながら直径50mインペラーによって海域周辺の肥沃化を図って漁獲量を飛躍的に増大するフィジブルスタディーが紹介された。

鷲尾氏からは、‘The Offshore Floating Type Wave Power Device “Mighty Whale”and Its Multi-Purpose Utilization’と題して、海洋科学術センターが1987年から進めてきた波浪エネルギー変換方法の概略が説明された。中でも三重県五箇所湾でのMighty Whale浮体プロジェクトから波浪と変換電力の関係、浮体表面積と太陽発電効果、波浪の上下動からエアーポンプを使った深層水汲みあげ法、Mighty Whale浮体を連結した消波効果の予測に関して紹介があった。

Kvamme氏からは、‘Technology for Deep Ocean Deposition of C02’の題で、二酸化炭素ハイドレートが深海3000mより深い環境では安定した物質として存在できる熱力学的、物性化学的に論理が紹介された。この論理を使って深海底の土中内また海淵に貯蔵することによって、今日の大気温暖化の有力な削減方法の一つである点が説明された。

Treasure氏からは、‘Development and Implementation of a Health, Safety and Environmental Management System’の題で、日本ではなじみが薄いOffshore Rigを有するまたはオペレートしている企業が、リグそれ自体ならびに会社全体挙げての安全管理システムの開発・構築そして確立・実施の方法が説明された。

 

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写真1

 

*原稿受付 平成12年12月26日

**正会員 神戸商船大学

 

 

 

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