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パネル討論

Panel Discussion

 

現在と将来の舶用燃料の品質について(PD-1)*

PD-1 Let,s Think about Marine fuel Qualities as they are and will be -CIMAC Fuel Recommendations and IS0 8217

 

塩出敬二郎**

 

1. まえがき

このパネルディスカッション(PD-1)は、ISME実行委員会から燃料潤滑研究委員会でパネル討論会を担当して欲しいとの要望に応えて実施されたものである。研究委員会内で検討の結果、前回は潤滑油関係のパネル討論会を行っているので、今回は燃料関係のものにすることになった。舶用燃料の品質については常に問題を孕んでいて、使用者側である船会社や機関製造者と供給者側である石油業界とが論争を繰り返している。一方、両者の要求を妥協させたものがIS08217(舶用燃料規格)やCIMAC Fuel Recommendationsなどの燃料規格である。規格に適合している燃料を使用していても機関故障を起こすことがある。機関入口での要求性状は、現在の国際規格(バンカー時)に比べて厳しいものである。このギャップを燃料前処理装置で埋めることができれば問題はないが、現実には処理できない場合の方が多い。この様な問題を抱えている舶用燃料全般について考えてみようと言うのが、このパネルの目的であった。そのために石油業者、船会社、エンジンメーカ、燃料処理装置メーカ、燃料試験器メーカ代表に出席を要請した。ISME実行委員会から提示された条件からパネリストの人数を最大6人(外国から4名、日本から2名)として、各業界のエキスパートを人選することになった。燃料潤滑研究委員会はCIMAC WG “Heavy Fuel”のメンバーを引き受けてをり、毎回会議にも出席しているので全面的な協力を得ることができた。ちなみに、パネルの議長を引き受けてくれたMr. K. Aabo(MANB & W)はCIMAC WG “Heavy Fuel”の議長を務めている。

パネルの概要を以下に述ぺる。

 

2. パネルの概要

1) 開催日時 平成12年10月26日(木)

15:50〜17:50

2) チェアーパーソン

K. Aabo(MANB & WDieselA/S)、

K. Shiode(AMPET)

3) パネルのメインテーマ

"Let's think about marine fuel qualities as they are and will be−CIMAC Fuel Recommendations and IS08217"

4) パネリスト及び講演概要

PD-11“Ignition and Combustion Properties of Marine Heavy Fuels and the Effect on Engine Performance and Condition”Geir Fiskaa(FUEL TECH AS,Norway)

舶用重油の着火性・燃焼性を評価する試験器は、これまで商品としては存在しなかった。発表者らは舶用重油の着火性・燃焼性を測定する定容燃焼試験器(FIA-100)を開発し、これによる試験結果からその燃料がそのディーゼル機関に適性であるかどうかを判断できることを明らかにした。また、この試験器による試験結果から着火性の指標として広く用いられているCCAIとの相関性を調べた結果、きわめて悪いことが判明した。この試験器の実用面での一例として、バンカー済みの燃料で着火性が悪い燃料が見つかり、これを解決するために着火性の良い燃料をブレンドした。この時のブレンド比率をこの試験器を用いて決定し、解決した。この試験器により着火性だけでなく燃焼性(熱発生率、燃焼期間等も)も見ることが出来るので、そのエンジンに適した燃焼特性を持った燃料を選択することができる。討論の中で船上でのブレンドは危険であるとの指摘があった。この試験器の有用性、性能向上に付いてのコメントもあった。

 

*原稿受付 平成12年12月14日

**正会員 米国石油化学(株)(渋谷区広尾1-3-15)

 

 

 

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