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Hamatakeら(大分大)は、大型舶用ディーゼル機関のクロスヘッド軸受に着目し、軸心軌跡や油膜の圧力分布等について報告した。

Azumaら(帝京大)は、潤滑油の消費を低減し、半永久的に使用できる新しい技術を開発した。本システムは潤滑油を永久に交換することなく、消費した分だけの新しい潤滑油を供給すればよいとのことであり、本システムの原理や舶用ディーゼル機関に用いた際の実験結果等について報告された。

(船舶技術研究所 平田宏一)

 

Corrosion and Erosion

本セッションでは、材料の腐食に関連する3件の発表が行われた。発表された論文の概要は以下の通りである。

小さい粒子を含む高温ガスの流れがセラミックコーティングに接触する際、コーティングは激しく腐食する。Amadaら(群馬大)は、プラズマ噴射によって被服されるアルミナコーティングに着目し、コーティング時の噴射距離が腐食に及ぼす影響を詳細に報告した。

Takahashiら(船研)は、海水中におけるAl-Mg-Si材料の腐食について報告した。腐食面の微細構造を観察し、腐食の形態について考察された。

Suzukiら(東京商船大)は、低炭素鋼及び高炭素鋼の海水中におけるクラックについて、様々な周波数域及び温度域で実験を行った。周波数や温度がクラックの促進に及ぼす影響について詳細に報告された。(船舶技術研究所 平田宏一)

 

Wear in Engines (1) & (2)

当セッションでは、主機シリンダライナ・ピストンリングの摩耗関連で5論文、主機械主軸受関連で1論文の発表があった。これらの論文はユーザおよびメーカにとって最も関心の高い内容であったため椅子を追加したが立ち見の人もでる程の盛況であった。リング・ライナの摩耗関連の論文は、高出力化に伴うシリンダ燃焼圧力の上昇およびライナ表面温度上昇が大きく関係する、ライナのスカッフィングの問題に対し、機関メーカはシリンダライナの材質に対する研究が、また油メーカは高温域でのシリンダ油の潤滑性向上への取組が発表された。他の2論文は振動計測による摩耗検知につておよびNOx対策として研究されているEGRの摩耗に対する影響についての研究であったが、いずれの論文も非常に興味深い研究結果であった。

最後の論文は、低速主機の主軸受の設計に考慮しなくてはいけない、軸受内での実際のジャーナル挙動をシミュレーションにより検証する研究であった、主軸受の損傷も主機高出力化とともに近年大きな問題となっており、研究の成果がより信頼性の高い軸受の設計につながる事が期待される。

(住友重機械工業 小坂和弘)

 

 

 

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