Heat Transfer(1)
このセッションは3編の講演があり聴講者は約15名であった。
TS-131:高圧飽和水と低温水との急速接触による過渡現象を究明している。この現象を理解する為常圧空気に接触させる予備実験と数値計算を行ったがその時には発生しない圧力ピークが生じている。初期圧力と発生ピークとの関係を整理し相関式を導いている。
TS-132:高圧飽和水を低温水に放出させた時の瞬間凝縮現象についての発表であった。
聴講者が日本人ばかりとなった為か、日本語での質問が出た。しかし活発な意見交換であった。
TS133:原油漏洩時、緊急バルブ閉でのウォータハンマの防止について、地下パイプライン方式は圧力上昇がし易く、カプラーがはずれた時はむしろゆっくりバルブを閉めた方がよい。しかしそれより2ヶのバルブを持った緊急貯蔵タンク方式のほうが効果があると発表された。
(阪神内燃機 澤田邦秋)
Heat Tranfer(2)
このセッションは3編の講演があり聴講者は約20名であった。
TS-134:蒸発管での霜の成長についてであるがこの現象は非常に複雑でその挙動を数式化したり予測することは非常に困難である。しかしBEMを利用したCGMにより形状を推進する逆ジオメトリー問題の解決に上手く適用できたとの発表があった。
TS-135:ボイラー、熱プラントの効率アップについて天然ガスボイラーからの実排ガスを使い、フィンチューブのフィンピッチ5mmと10mmとのテストから熱伝達実験を行った。フィン効率は露点で急激に低下すること、フィン効率は等価熱伝達率を用いた評価式により予測できる等の発表がなされた。
クラシックな研究報告との意見もあったが基礎的であり大切なことである。
TS-136:補助ボイラーの給水管入口での応力推定。一般に給水管入口にはスリーブまたはそれに相当する装置を設けるよう要求されている。ボイラードラムを直接取付ける為の熱応力の分布について研究され、ある圧力条件下で可との発表がされた。
この日最後のセッションで、時間オーバするほどの質問があり非常に活発であった。
(阪神内燃機 澤田邦秋)
New Energy Systems(1)
本セッションは、収容人員51名の部屋で、University of Newcastle upon TyneのP.Zhou氏と運輸省船舶技術研究所の春海一佳氏の両議長の下で行われ、スターリングエンジンに関する4つの論文が発表された。各講演共に多数の出席者の下に活発な質疑応答がなされた。紙面の都合で各講演内容の概要のみを以下に報告する。
最初の発表は宇都宮大学の戸田富士夫氏らが、1kW級α形低温度差スターリングエンジンの性能予測並びにバッファ圧力を高めた場合のエンジン性能特性について考究し、その結果、高熱源温度130℃、バッファ圧力0.8Mpaにおいて最高軸出力741W@174rpmを得ることができた旨の報告があった。第二番目の講演は、東京工業大学の一色尚次氏らによる提案であった。本提案によるエンジンは、蒸気ボイラと組み合わせて、蒸気を作動流体として使用し、若干の蒸気の注入と排出を行わせることによって、その熱力学的サイクルはランキンサイクルとスターリングサイクルの複合サイクルとなり、その理論的熱効率は20〜30%となる。蒸気は流動抵抗が少なく、且つ熱伝達率も高く、ヘリウムその他に比較し安価である利点がある。更に、スターリングヒータ部の温度を上げる程、出力、効率が上昇し、且つ再生器を大きくすることでその効果も大きくなる。更に、本機関は、クランクケースが開放されているため、低価格で低重量であり製作し易く、どんな燃料でも良い利点より中・小型ボイラと組み合わせた小型船舶用に極めて有望である旨報告があった。第三番目は、船舶技術研究所の平田宏一氏による講演で、小型化及び低コスト化を目指した50W級エンジン開発に関する発表で、エンジン設計の概略、性能試験並びに機械損失の測定結果について触れられており、目標出力に達成するためには、熱交換器の高性能化と機械損失の低減が必要である旨報告があった。