表2によれば、いずれの機種も97件から123件も故障が発生しており、機関の信頼性は大型船舶用機関と比べて、発生件数は著しく多いことがわかる。
また表3によれば、故障発生件数が多いコンポーネントは上位から順に、過給機、弁、燃料噴射、起動系、シリンダーヘッド、連接棒、ライナー、ピストン、軸受け、フライホイール、スラストブロック、カム軸、クランク軸、排ガス系等とあり、故障で上位を占めている項目は改善の余地があることを示唆している。現在発売されている機種はこれと比較すれば、数分の1の故障率になっているのではないかと推測されるが、日本で比較的沢山売れているヤンマー、ダイハツディーゼル、新潟鐵工、バルチラの4機種の比較データがあれば、ユーザーから見た推奨機種が明確になると思われる。
中国の研究者から活発な質問が出た。
TS-130
最新のアフラマックスタンカーの機関室設計とポンプルーム機器に関する解析。この種の解析は日本では殆ど試みられたことがないが、北海等に就航するタンカーでは冗長性評価を含めて一度きちんと評価すべき事項である。
図3の電気推進採用で、カーゴ及びパラストポンプ駆動系をモーター駆動とし、かつチューブ状プロペラ2基を装備する設計である。チューブ状プロペラとはどのようなものでスラスト力が現在のスクリュープロペラと比べて推進効率がどの程度か明示されていないことが問題点である。渦巻きポンプのヘッドは現状では200mT.H.以下である。
図6で、貨物/推進ポンプのヘッドが低くないかという懸念がある。
(シーテックエンジニアリングサービス 奥村吉男)
Safety, Reliability & Maintainability(4)
このセッションは3編の講演があり聴講者は約20名であった。
TS-125:中国からの講演で持参のパソコンが不良の為画面が写らず困ったが、落ちついて講演された。その内容はディーゼル機関の故障診断についての説明でそのプログラムを開発した。正常のデータとの相対的偏差により、シミュレーションすることによりさまざまな運転状況であっても熱力学的変数を表示しさらには故障予知の情報をあたえることができるというものであった。
TS-126:異なった故障率と修復率を持った3-out-of-4:G warm satandbyシステムモデルが新しく考えられ、その結果故障頻度とアベイラビリティが得られる。これらは実際のパワープラントなどのシステムに応用されるのに適していると発表された。
TS-127:故障診断成功率による保全分析
機能不良や欠陥からシステム故障が起こると推測される場合、故障診断の成功率を用いた監視保全特性についての発表がされた。
(阪神内燃機 澤田邦秋)
Safety, Reliability & Maintainability(5)
このセッションは3編の講演があったが、いかにこの分野での研究が多いとは言え、最後の5つ目のセッションと言うことでは聴講者は、日本人ばかり約10名と非常に少なくしかも質間もなく終了、少し寂しい感じがした。
TS-128:船内配置に対する船体安定性評価に関する講演でISSEM法および計算モデルにより究明できるとの発表があった。
TS-129:小さい貨物船1000psぐらいの主機関の事故分析。インドネシアでの貨物船は15年以上経った古い船が多い。事故割合は一定のパターンbath up curveを描く。種々の7隻を調査したところその傾向が現れているし、すでに5台はwear outの領域に入っている。また2隻はその領域に入ろうとしているとの発表であった。
このデータの中には日本のエンジンメーカの名前も見られどこか親しみのある発表であった。
TS-130:アフラマックス型タンカーについて機関室の設計についての講演があった。ABルールR2SA+に適合したものとし、一つのシステム、スペースがその機能を喪失した場合でも50%の効力が出るような推進、機関室のアレンジに対する発表であった。
(阪神内燃機 澤田邦秋)