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その結果、SOFおよびISF量はシリンダ注油量及びジャケットクーリング水温度の上昇に伴って増加する。SOF成分の分析により、SOF量はシリンダオイルに大きく依存している。セタン価による影響は明らかではない。また、プロペラ運転によるPM排出量は定速モードよりは高い値を示す等の貴重なデータを提供している。

(神戸商船 大学西田修身)

 

Fuel Consumption

TS-53:舶用ディーゼル機関からの有害物質の低減と評価

Assessment and Treatment for Harmful Exhaust Emissions from Marine Diesel Engine.

西尾ら、他6名(船研)

4サイクル単気筒機関(257kW,420rpm)で、燃料がMDF、MFO等の12種類を用いて、排出される汚染物質(NOx, COx, HC, SOx, Soot, N2O etc.)の低減効果について実験されている。低減策としては、乳化燃料、SCR(Selective Catalytic Reduction)法および電子制御方式等で評価している。その結果45%の水乳化ではNOxを約半減でき、COおよびHCは高負荷で効果があったが、PMには効果は認められなかった。SCRについてはNOx、COxおよびN2O全てに渡って低減できた。なお、N2Oの排出はS分に大きく依存している等、貴重なデータが示されている。

TS-54:新日本海フェリーのLILACへのPLUTOcen-Fの使用報告

Report on the Use of PLUTOcen-F on"LILAC" Owned by SHIN-NIHONKAI FERRY

清水(新日本海フェリー)

船舶のメンテナンス時間の短縮と、燃料・潤滑油消費量の削減が極めて重要である。そこで付着カーボンを減少させる添加剤(除煤剤)として、商品名「PLUTOcen-F」をC重油中に添加し、実船テストを試みた。(添加率は25〜50ppm/月)。

その結果、有機性カーボンを酸化させ、機器への付着性カーボンの低減をはかることが出来た等の貴重な資料を示している。

TS-55:海上運転での機関燃料消費特性

Characteristic of Main Engine Specific Fuel Consumption on Sea Trial

幅田、中島(石播重工KK)

機関の燃料消費は船舶の運航におけるランニングコストを論ずる上で重要である。そのためにエンジン負荷指数(PLI)と軸出力(PTM)より評価している。PLIは機関への入熱、燃料油ファクターで、PTMは運転雰囲気や負荷変動等で決まる。これらは陸上及び海上運転で大きく異なるため、系統的に論ずるための算定式が必要である。とくにエンジン効率算出には燃料種や機関負荷変動の影響が大きいと示唆している。

(神戸商船大学 西田修身)

 

Turbochargers

このセッションにはターボシステムズユナイテッド株式会社(日本)、ABB Turbosystems Ltd.(スイス)および三菱重工業株式会社(日本)から各1編の論文が投稿された。

“TPL..B Tailor made Two-Stroke Turbocharger”では近年の大型2ストロークディーゼル機関用として開発されたABB製TPL..Bシリーズ過給機の概要、特に性能、就航実績、信頼性について報告された。総合効率はWNSD定義で70〜74%、またMAN B&W定義で68〜72%が得られており注目される。また現在生産されている最大機種TPL85Bよりさらに流量・圧力比を増加させたTPL91B形の開発状況が紹介された。一方“Development of Turbocharger”では三菱製MET..SE形の容量を増加させたMET..SE-II形過給機とともに更に大容量にした新MET90SE形についての概要と試験結果につき報告された。MET90SE形過給機は50m3/s以上の吐出空気量と最高72%の総合効率を発揮する。これらの大型過給機はコンテナ船の高出力主機関に対応するものである。

“TPS-High Efficiency,Heavy duty turbocharger for Medium size engines”では500〜3,200kWの中型機関に適合するTPS形ラジアルタービン過給機の技術的な特徴および各種信頼性の試験結果につき報告された。

 

 

 

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