論文講演
Paper Presentation
論文講演の概要
論文委員会
DIESEL(1), DIESEL(2)
DIESEL(1)では、低速エンジンについて3論文が発表された。発表は海外から1編と国内から2編で、MAM B&W社と三菱重工業(株)におけるそれぞれの低速エンジンの設計と開発に関するものである。DIESEL(2)でも、3論文が発表され、SEMT社の中速エンジン、および(株)新潟鐵工所の高速エンジンと中速エンジンの設計と開発についてのものである。内容としては、設計コンセプトに基づきCAEの活用や、IMO規制のNOx対応などについて説明されていたものが多かった。いずれも船舶推進用のエンジンについての発表であり、エンジンの信頼性の観点からエンジン主要部位の強度面や低負荷でのスモーク改善技術などについても説明されていた。
これらの講演はキーノートレクチャーのあとであり、参加者が多く、130から150名程度聴講しており、盛況であった。フロアーからの質問も活発で、低速エンジンの設計仕様の選定基準の考え方など基本的な質問もされていた。発表方法はOHP、PC-プロジェクターやスライドなど多様であった。
(ダイハツディーゼル 近藤博美)
Emission and Control(2)
TS-50: 舶用ディーゼル機関からのPMの分析と測定
Measurement and Analysis of Particulate
Matter(PM)from Marine Diesel Engines.
中島ら他8名(船研)
4ストローク機関(420rpm、257kW)で、燃料にMDOおよびMFOを使用し、希釈トンネル法で微粒予濃度を測定している。PM(SOF)の化学的分析にはGC、GC-MSおよびIC(イオンクロマトグラフィ)で行っている。
その結果、負荷が大きくなるほどPMは低減され、75%時最低値を示す。PM量に対するSOF量は全般に負荷が増すほど燃焼改善によって低下する傾向にある。MDO使用時は50%負荷でSOFはPM中の80〜90%を示している。
エンジン負荷の増大とともにSOF中の軽質分が低減される。負荷が100%と高くなるとPM中のSOFが低下し、結合水や硫化物が増す。さらに、油圧噴射式を用いることによってカム式に比べ全負荷に渡ってPMを低減でき、燃料噴射時期TDC8度では極めて低減効果が大きいことを示しておられる。
TS-51:実船2サイクル機関からのPM排出特性
Measurement on PM Emission from 2-Cycle Marine Diesel Engine during Voyage.
前田(下関水産大)ら、他3名
練習船耕洋丸(2795kW、230rpm)および高速機関(S4M-MTK、103kW、2400rpm)からのPMを希釈トンネルを用いて測定されている。
その結果、機関の負荷が上り回転数が低いほどPM(kg/kWh)が増加している。PM中の約70%はSOFである。
さらに希釈率の評価を基礎的に行っている。その結果、Dilution Ratioを15.5以下ではPMは大き目に測定されデータにばらつきが生じるが、15以上では一定である等の貴重なデータを提供しておられる。
TS-52:2ストローク機関からのPM排出の測定
Measurement of Particulate Emission from 2-Stroke Marine Diesel Engine.
塚本ら、他2名(東船大)
実験は2ストローク・クロスヘッド型機関(1105kW,188rpm)を用いて、燃料種(セタン価43.5,35.5)、シリンダオイルの注油量、ジャケットクーリング温度、運転モードおよび機関負荷等を種々変えて、希釈トンネル法を用いて、ISF(Inso-luble Organic Fraction)を詳細に測定している。