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基調講演

Keynote Lecture

 

舶用潤滑油とトライボロジーの進展*

Marine Lubricating Oils and Advancement in Tribology

 

M.J.Cannon**

花島脩***(抄訳)

 

はじめに

先ず筆者の個人的事柄を若干述べさせて下さい。

本年は、次の新千年期の始まりに当る記念すべき年ですが、現在オランダで勤務している私に取って、更に非常に記念すべき年になりますのは、日本とオランダとの間に通商が始まってから丁度400年目に当るからです。

そのためオランダでは、今年の2000年には、日本に関する種々の記念行事が行われています。例えば、特別展覧会、日本文化に関する催し、彼の有名なオリエント急行でオランダから日本に行く特別な旅の催し、自宅の近くのパン屋では日本風パンを造って販売したりや、自宅の最寄りの鉄道の駅に突然、寿司バーが出現したりです。

さて、ISME Tokyo 2000の期間中に無潤滑機関がまだ開発されていないことが明らかに示されました。それどころか、無潤滑機関開発の目標は、逆の方向を指向しているのが真実であると私には思えました。

即ち、機関開発間隔は短期化されています。その理由は、効率の更なる向上、更なる経済性改善の達成(燃料消費量、潤滑油消費量、潤滑油交換時間、オーバホール間隔等において)、環境保全に関する要求(排気ガス、廃油の安全な廃棄等において)、関心のるある燃料油基材(廃プラスチックを含み)の着火性や燃焼性等の様な新たな使用者の要望に応えるためです。これらの要望は、潤滑油に対して現在よりより多くの役割を課すようになります。

 

潤滑に関して検討しているグループ

潤滑を検討しているグループは、幾つかに分けられます。活発に活動しているグループは、今週のシンポジウム(ISME Tokyo 2000)の主催者であるMESJであり、このMESJは、CIMACとCECを介して、欧州と繋がりを持っています。

欧州をべースとしたCIMACの組織は、全世界をカバーしています。CIMACの活動は、ISME Tokyo 2000の講演の中でK.C.Limから紹介されましたように、CIMACには、例として、排ガス、燃料油と潤滑油に関する作業グループがあり、そのグループの成果として、燃料油の推奨規格、低速、中速、高速機関の潤滑ガイドラインの出版があります。

また、その他欧州にはCECがあり、その中に大型デイーゼル機関の潤滑を取り扱う調査研究グループ"IL-047"があります。この"IL-047"の成果として、使用油の試料油採取法、推奨試験分析法、中速機関の高油消費の対策や、最近では残さ燃料油の潤滑油中への混入による影響(CECシンポジウム1997)があります。

更に、CECは、北米とも、SAE、ASTM、STLEやASMEの様な主要組織を通して非常に良い協力関係を持っています。

 

舶用潤滑油の進化

舶用潤滑油は、(1)機関メーカの新開発機関、(2)使用者の期待・要望や(3)健康・安全・環境規制により進化を要請されます。その進化の要請に応えるため、潤滑油は、(i)潤滑油基油製造、(ii)添加剤、(iii)新潤滑油処方箋の開発が必要とされます。

 

*原稿受付 平成12年12月8日

** Shell Global Solutions International(Amsterdam)

*** (川崎市麻生区向原3-19-13)

 

 

 

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