陽イオン変換膜型燃料電池(PEMFC)
固形酸化物型燃料電池(SOFC)
融解炭酸塩型燃料電池(MCFC)
アルカリ型燃料電池(AFC)
PEMFCは現在良く使われているタイプであり、普通のバッテリーと同様、実質的には単セルを多数重ね合わすことによって構成されている。Fig.5に示すように、燃料と酸化剤は低圧(典型的なものは2-3barであるが、圧力を増すと効率は上がる)のガス体反応物として電池に供給され、結合して電流と水を生成する。
この原理は全てのタイプの燃料電池に共通している。しかし各タイプはその電解質の構成や運動温度、触媒等の点において異なっている。アルカリ燃料電池は反応の際にアノード極が消費されてしまうと言う独特の欠点を持ち、そのためライフコストは高くなってしまうが、エネルギー密度の点では優れているという特徴がある。
燃料電池の運転は、純水素に限定されているわけでなく、メタノールや改質燃料など使用されている。今のところ、改質技術は開発途上にあり、軽油なども燃料電池の前段で改良することにより、直接使用することがが出来る。水素燃料に移行するのとは違い、この場合は世界における燃料貯蔵インフラの変更は、僅かで済むから、この選択は短期的には水素を使う場合よりも、ずっと現実的である。
4.4 ガスタービン
軍艦用として考えると、ガスタービンは蒸気タービンプラントとくらべ、容積当りの出力が高く、燃料消費が少なく、船上における保守負担が少なく、操作性が良く、人出も少なくて済み、機関室の作業条件も良い。船舶における2-10MWの範囲の動力源としては、ガスタービンは、中/高速のディーゼルエンギンと直接競争しうる存在である。一方低/中速のディーゼルエンジンについては、低質かつずっと安価な燃料で運転することが出来、大きさや出力密度の制約が厳しくない所で使用されていることから、こうしたケースでガスタービンが考慮の対象とはならないであろう。単純タービンサイクルの燃料消費率は、ディーゼルエンジンと比べて劣っており、出力率も低い。再生式ガスタービンでは、全負荷においてはディーゼルに近い燃料消費率が得られるが、低負荷運転時にはかなり消費率が悪くなる。優れた設計の複合サイクルガスタービンは、排ガスの熱を利用してディーゼルよりかなり良い燃料消費率を達成できるであろう。ディーゼルエンジンでは排熱の多くが、冷却水/油、潤滑油など低グレードの媒体に移されてしまうのに対し、ガスタービンの場合は、軸出力に変換されなかった燃料エネルギーの中95%が、高グレード・高温の排気として得られる「24」。
ロールスロイスWR-21のような現代のガスタービンは、コンパクトで高出力と言う特徴によって、伝統的に中速ディーゼルエンジンが占めていた市場に、初めて挑戦しうるほど強力なところに来ている。ガスタービンに固有の信頼性の高さは、長く認識されており、特に高速運送分野などの新分野で競争する際には、この点が大きな長所の一つになるかもしれない。
ガスタービンは、その高い出力/容積比と速い起動性によって、長年軍艦の主機として選択されてきた。しかし、商船に採用されることが無くなった理由である、熱効率の低さと残査物燃料油が使用できないと言う伝統的な欠点は、改善されつつある。現在最も一般的な単純サイクルガスタービンは、全負荷時に35%程度の熱効率を有する。ただし部分負荷時の熱効率はずっと下がってしまう。
先進的なサイクルを持つガスタービンは、高い全負荷時熱効率と、優れた部分負荷性能を提供できる。