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その間、NKの方も会長の交代、舶用機関学会の会長及び事務局長の交代、ISME組織委員会の発足、友好学会、イギリスのIMarE会長の交代と人事を見ただけでも目まぐるしく歴史は動いた。しかし、不動のものがあった。ISMEを成功させようという関係者の団結であった。紆余曲折はあったものの、かくしてISME TOKY0 2000の本番を迎えることになる。

実行委員長として最も気を使ったのは司会者として参加した開会式であった。

 

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写真1

 

レセプションパーティーの翌日、10月24日の午前9時半より午前中一杯が開会式にあてられた。開会の辞、祝辞、歓迎の辞、特別講演と式は進行していった。開会の辞を佐藤準一組織委員長、歓迎の辞を青木雄二郎舶用機関学会長とそれぞれホスト側で、祝辞は海上技術安全局長谷野龍一郎氏、造船学会長間野忠氏(NK会長)、IMarE代表A.P.Roskilly教授の方々にやって頂いた。さすがに各界を代表される方々のスピーチは、最近の海運界の核心をついた含蓄の深いもので司会者みようりに尽きるものであった。

祝辞では当初日本財団からも頂くことになっていたが、あいにく他の行事と重なり出席出来ず代りに祝電を頂いた。これも開会式に花を添えて頂いた。祝辞に立って頂くVIPの負担を考える時、必ずしも演壇に立たずともこういう形での参加もあってよいのではなかろうか。

Roskilly教授は、IMarE代表としての祝辞と特別講演とを1人2役でこなして頂いた。特別講演では後述されるようにトレンディーなテーマで初日を盛上げて頂いた。

開会式に限り同時通訳で進行したが和英も英和も歯切れよく満足のいくものであった。

開会式の始まりが早朝ということもあり参加者が少なく、折角来て頂いて演壇に立たれるVIPの方々に失礼になるのではと危慎したが、ほぼ会場は参加者で埋まり杞憂に終った。

従来、パネルディスカッションの後、最終日の晩に行なわれていたバンケットを今回のISMEでは1日前に繰上げた。これが功を奏し論文セッションに参加したほぼ全員がこのバンケにも参加し、さらにバンケのみの参加者も加えバンケは盛大なものとなった。

 

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写真2

 

ただこれが裏目に出た小さな事件があった。会が始まって40分〜50分後Roskilly教授が挨拶に立った時のことである。同教授はマイクを使っているにもかかわらず会場に全く声が通らない。同教授の声はフロアの後方の大勢の参加者のざわめきにかき消され、フロア前方にいた我々の耳にさえも聞きとり難い状況であった。同教授は最初のうちこそ平静を装っていたものの最後の方では、思わず顔をゆがめる場面もあった。この会のために十分に推敲を重ねたと思われる原稿を手にしていたRoskilly教授にとっては、さぞ残念な思いをしたことは想像に難くない。気の利いた一言がこめられていたに相違ないこのスピーチを聞き損ねた我々にとっても残念なことであった。ゲストスピーカーをお願いする場合にはよくよくTPOの配慮を払うべきであるとの思いを強く抱いた事件であった。

レセプションパーティー、セッション講演の詳細は他に譲ることとしたい。

実行委員長として会期中通して参加できなかったのは残念であるが、参加出来た限りではセッション講演もパネルディスカッションも展示会も、これまでのISMEに比べて遜色のないものに思われた。

 

 

 

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