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機能性の評価項目の抽出と階層構造

・機能性階層構造

システムの有用性評価として乗組員から17の内容について数量化アンケートをとっている。それら項目は相互に従属性があるが、操船上の効果(計画、居眠り防止、自船測位、自然環境情報入手)、安全性(安全性配慮)、感覚的な内容(不安感、孤独感、パートナー感、信頼感)と利便性(習熟性、操作性、船橋の便利性、船橋の歩行性)の4つに分類した。これらをもとに、表3に支援システムの機能性にかかわるフレーズを中心に、機能性評価に必要な項目を出来る限り独立性を保つように選定して階層化したものを示す。船舶運航において、一対比較法(AHP)によりこれら評価項目の重要度を知るため、5人による乗組員から重み付けのアンケート調査を実施している。これには、同じぐらい重要(1)、若干重要(3)、かなり重要(5)として5人の相乗平均より求める。その結果を表4に示す。

・機能性の評価項目と重要度

アンケート調査の結果から、各レベルごとに計算し、この項目別重要度に上位項目の重要度を乗じた値がその項目の重要度となる。

 

各種当直航海システムの比較

・航海システムの名称、内容等

単独当直航海システム(含む在来2名当直船)に関して、時系列の差異を含め、国内外に各種実施基準案がある。それらを次に示す。

I:IMO-MSC/c566基準(1991-7-2発表)船、(C566と称する)。

II:MSC/NAV40-25・A-18基準(1994年)船、(NAV40と称する)。

III:ドイツ基準=MSC/C566基準に追加項目付与(Germanyと称する)。

IV:2名当直体制の在来船である。ただし簡易(Easy)ARPAカラー近距離レーダ・エコートレイル付きと、電子簡易参考海図付きGPSプロッターを6年前に追加設置した。船齢:約15年の内航GT2,950トンタンカー(A/mと称する)。

V:前項のA/m船から追加設備を除いた在来船の新造ベース(B/mと称する)。

VI:近代化船(C/mと称する)。電子海図等を備えた単独当直航海支援システム機能を装備。

3隻の内航船(IV、V、VI)については、各機能のサブシステムにおいて乗組員5人による有用性の数量化アンケートの実施結果(平均値)により、又MSC基準関係は専門家による設備評価点数を実施している。これに前述の一対比較(AHP)により求めた各機能の重要度(重み)を用いて、多基準分析法によって、各船、各基準の有効性を算出する。

・各航海システムの優劣結果

各航海支援システムに多基準分析法を適用した結果を図2に示す。

 

 

 

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