2-5 FSA (Formal Safety Assessment)の要旨
IMOのMSC(海上安全委員会)の1997年第68回委員会およびMEPC(海洋環境保護委員会)の1997年第40回委員会において、FSAの暫定ガイドラインを承認した。
FSAは、IMOに関係するSOLASやMARPOLなどの国際条約を主とした対象とし、その規則制定に使用するものである。
過去の特定の事故などにより、制定・改訂されてきたこれらの規則に、より合理的な根拠を与えることを目的としている。
2002年程度までを、試行適用期間とし、その後全面的に適用するのが目標である。現在MSCでは、同暫定ガイドラインを正式なガイドラインとする作業を進めているし、試行検討の一部は、すでに規則へ反映しつつある。
1) FSAの5段階
暫定ガイトラインには上図の各ステップの検討において、配慮すべき事項が記載されている。最終的には、危険な事象の生ずる確率を求め、またそれが、人命、環境、財産に与える影響を論じて、危険をコストを配慮して減らす方法を提案するのが、目的である。規則制定に際し、キイとなる検討結果を与えるものである。
また、同ガイドラインには、FSA検討結果の報告の書式も記載されている。
以下に、順を追って各ステップの概要を述べる。
2) 障害の同定(Hazard Identification)
障害の同定(HAZID)は過去の事故例により定められるものの他、専門家の会合により指摘される危険事象の因子となりうるものも含まれる。
障害には、機器類(Hardware)、人間要因(Human Factor/Element)、と自然環境(External/Environment Event)を考慮する他、関係する規則の種類を考慮する。