2.6.5 旅客船
(1) 貨物船に比し特に人命尊重の見地から適用される法規が多いので、慎重に検討し万全を期する必要がある。
(2) 上部構造が大きくなりがちであり、重心が上昇しやすいので、この点には特に注意すること。
(3) 風圧側面積が大きいので、復原性・操縦性に対する配慮が必要である。
(4) 旅客船の復原性基準に合格させるためには、総トン数の5%程度の重量を限度として、固定バラストを搭載する。
(5) 比較的大馬力の主機を搭載するため、振動および騒音防止に留意する。
(6) 冷・暖房装置とそのダクトの位置については、設計の初期に検討しておく。
(7) 採光・通風・交通等の諸装置については細心の注意を払うこと。
2.6.6 自動車渡船(カーフェリー)
(1) L、B及び車両区域の甲板間の高さは主として、搭載すべき車種と台数により、Dは主機関の寸法により決められる。
(2) 船首・尾の喫水付近のAWは、車両乗下船時のトリムとヒールを考慮してなるべく大きくとる。
(3) 発着場所の情況によりランプドアーの寸法、乾玄、玄弧等を決定する。
(4) 車両甲板の梁矢は船の幅の1/75〜1/100程度で、玄弧も他船より小さい。
(5) 車両甲板下に客室を配置することはできない。
(6) 自動車渡船構造基準に適合するものとする。
(7) 車両及び旅客の乗下船時における安全、消防設備、車両区域の通風等については特に考慮を払うこと。
(8) 「カーフェリーの安全対策の強化について(昭和48年7月10日付舶査第367号)」及び「その取り扱い等について(昭和48年9月21日付舶査第481号)」に適合するよう安全性、の確保には、特別な配慮が必要である。