(6) 高級薄板等濡れを特にきらう鋼材を積むときは、鋼製倉口蓋および上甲板裏に防滴工事を施工する。
(7) 貨物と船殻構造の相互を保護するために、ボットムシーリング及び特設肋骨の面材内面に木材を張るのが普通である。
鋼板コイルの搭載量が大きな割合をしめるときは、倉内下部側方に半永久的な動揺止めを設置することがある。
(8) 荷役中における倉内作業を安全にするため特設肋骨方式がよい。また、倉内無梁柱、大倉口等の点からみても、所要の積付係数がとれるならば、強度上大きな特設肋骨が望ましい。
(9) 有効床面積を減少させないように二重底頂面はフラッシュとする。
2.6.3 液化ガス運搬船
液化ガス運搬船には、圧力式と低温式とがあるが、小型船においては圧力式が多いので、圧力式の液化ガス運搬船の計画に際し注意すべき事項を列記する。
(1) 液化ガスの種類・比重・荷役方式その他船主の特殊要求を確認する。
(2) 対象貨物の物理的・化学的性状およびその取扱いについても十分調査する必要がある。
(3) タンクの型式、配置を決定する場合、容積・復原性・トリム・船価等の各面から十分検討する必要がある。
(4) タンクの型式、配置によっては重心があがり、喫水が比較的浅く風圧側面積の大きい船になるので、復原性に注意し、必要に応じ固定バラストの搭載も考える。
(5) 船体主要寸法は、圧力タンクの容量によってきまる。
(6) 液化ガスの種類・荷役時間・陸上の設備に最も適した荷役装置とする。
(7) 年間輸送量の確保が要求される場合は、タンク内の残量(液及びガス)を考慮に入れておかないと、揚貨量不足のため計画を達成できないおそれがあるので注意を要する。
(8) 防爆について特に注意するとともに、液化ガスの種類によっては、特定金属が触媒となって爆発物を生成するので、この点の検討を忘れてはならない。
2.6.4 硫化鉱運搬船
(1) 硫化鉱は含水率が高く、航行中に水分を放出し、自由液面を生じ、しかもその比重が大きいため、その修正量(GG0)がいちじるしく大きくなり復原性をそこなうことがある。また荷くずれを起こすこともあるので注意を要する。
(2) 乾玄・縦通隔壁・積付等に対する規則があるので、これらの趣旨を十分くみとり計画を行う。