2.6 船種別設計に関する特記事項
代表的なものについて、特に船主に確認すべき事項及び考慮しなければならない要点について述べる。
2.6.1 油送船
(1) 貨物油の種類・比重・荷役時間・荷役方法・異種の油の搭載等を確認する。
(2) 軽質油のように比重の小さいものを搭載する場合は、十分な容積を必要とするため、前部バラストタンクが小さくなり、空倉状態ではバラスト量が不足しないようタンクの大きさを検討する。
(3) 重油搭載の場合は、荷油タンクを加熱する必要があるので、船主と打合わせの上、航行海域に応じた加熱管の面積比を決定する。
(4) 満載状態で船首トリムにならないよう、タンク配置と機関室の長さを極力短かくすることを考慮する。
(5) 荷油管系統には種々の方式があるが、使用目的に合った、保守点検に有利なものを選ぶ。中小型船で異種の油を搭載しない場合は、リングメイン方式が多い。
(6) 荷油ポンプの力量は、所要荷役時間から決定し、台数は、タンク容量・荷油管系統に合わせてきめる。ポンプ圧力は、油の粘度と送油距離によってきまる。また、残油処理に要する時間を短縮させるため、残油ポンプを単独に設ける場合とメインラインを兼用する方法とがある。
(7) 荷油ポンプの型式としては、一般には渦巻式であるが、歯車式は特殊油用に使用される。
容量と油貨に適合した効率の高いものを選ぶ。
(8) 荷油ポンプの駆動方法は、小型船では主機駆動のポンプが多い。
2.6.2 鋼材運搬船
(1) 鋼材の種類・単重・寸法・積付係数・積付要領・荷役方式その他船主の特殊要求を確認する。
(2) 鋼板・型鋼・コイル・レール等積付係数の小さい鋼材の場合はボットムヘビイになりやすいから、船底構造の深さを高くし、強度的にも特に考慮を払うこと。
(3) パイプ、特に大径管、線材等積付係数の大きい鋼材の場合は、所要貨物倉容積を十分検討する。甲板積を行う場合は木材運搬船に準じた考慮を必要とする。
(4) レール等の長尺物の場合は、倉口長さの決定に注意を払い、船の大きさの割合に長く、かつ幅の広い倉口となる場合は、船体横強度および捩れ強度を十分に検討する。
(5) コイルの場合は、あまり高く積み重ねることが困難なので、積付床面積の所要量をあらかじめ算出し、特に船首部の二重底高さはこの点から検討する。また、コイルは単重が大きいので、船装、船殻上の対策及び荷役時における横傾斜角度等を検討する。