第12章 船橋装置
12.1 一般
12.1.1 船橋の位置
船橋は、船を操縦し運転する、いわば船の頭脳的存在の場所であるから、その重要性を考えて次の条件を満足するようにその位置を選ばなければならない。
(1) 前後位置
視界の点からすれば、なるべく船の前方部にあるのがよいが、船首に近いと縦動揺がはげしいので、長さの中央部か後方部がよい。
(2) 高さ
船を操縦するには、前方、後方、側方の視界が良く、見張りが十分にできるような高い場所がよい。
(3) 弧立性
船位や進路を決定するために、慎重な計算や判断を冷静に行うために、船の中で最も静かな孤立した場所がよい。
(4) 配管、配線
操舵、機関の操縦装置、陸上又は他船への通信装置、信号装置、航海計器、指令装置、保安装置等が集中しているので、これらに対する配管、配線等の集中を考慮して有効な位置でなければならない。
一般に、中央部に機関のある船では、中央部に船橋を置くが、最近は大型船でも船尾に機関のある船が多くなり、船橋も後部になったものが多い。前方視界は多少悪いが、後部船橋は船全体の見透し、保針性等が良く、小型の船の場合は、特に機関部の操縦、通信に便利である。
12.1.2 船橋の配置
船橋は、操舵室を中心に、その両翼に舷側まで張り出した見張所を設け、無線室、海図室を隣接して設ける。船長室はなるべく操舵室の近くに設ける。船の運航責任者として、交代当直する航海士の室も同様に近くに設ける。
また、無線士の室も近接させる。
12.2 船橋の艤装
12.2.1 操舵室
操舵室は船橋装置の中心部、すなわち最も重要な中枢であって、次のものが配置される。