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老いの住まい NO.10

本間郁子

 

入居者と介護保険

地震が起きたら…

 

10月に「特養ホームを良くする市民の会」で、「特養ホームで自分らしく生きるために」と題してシンポジウムを開催した。

参加者の中には、1か月前から福祉キャブを予約して来た特養ホームの入居者(男性)もいた。会場となったホテルには障害者用のトイレがなかったために、会員の介護職員(男性)に付き添ってもらった。シンポジウムは約3時間、当初は会場からの質問を受ける予定だったのだが、時間がなくなってしまい質疑応答は取らずに終わってしまった。

シンポジウムが終って数日後、その男性から手紙を受け取った。質問したいことがあったというのである。その内容は、次のようなものであった。

「まだ記憶に残っている阪神・淡路大震災、有珠山、三宅島、神津島そして鳥取西部と大きな地震は毎年のように各地で続いている。今度は東京かなと思うと怖くて眠れなくなる。私のいる施設は80人の入居者に対して4人の夜勤者。痴ほう老人が約90%。もし、夜中に震度7くらいの地震が起きたら大パニックになるだろう。私がこの施設にお世話になってから7年になるが、施設長は、この4月に就任した人を入れると4人目だ。そのたびに、防災の問題を取り上げ施設長に質問するのだが、回答が返ってきたことはない。ある日の区報を何気なく見ていると『一日区長』というイベントが行われるのを知り、早速応募してみた。

 

 

 

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