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小さなボランティア団体ですが、介護保険による収入は極めて大きい。その恩恵には感謝しなければなりません。二〇〇〇年度の収支規模は、前年度の二倍になるでしょう。これで、また助け合い活動の幅を広げられます。

 

それを聞いて安心しました。半年間やってみて、新制度についての注文は何かありますか。

 

私たちは、介護保険の枠内の仕事も、枠外の活動も並行して続けますが、いくらよい社会保険制度であっても、利用者との間にミスマッチがあってはいけないし、使いづらいようでも困ります。また介護の社会化は進んだとしても、女性にとっての負担が変わらないのなら、見過ごすわけにはいきません。そういう視点から、新制度についての現場の声を吸い上げ、もっともっと行政や社会に向けて発言していきたいと考えています。

 

法人化で社会の認知が進む

 

NPOの法人認証を受けたのが一九九九年八月。法人化してどんなメリットがありましたか。

 

当初は何の利点もないのではと疑っていたのですが、やはり社会の評価が変わりました。行政の人もこちらの話に耳を傾けてくれるようになった。社会の認知の第一歩を踏み出したという感じです。公共サービス事業に参加できる入札登録もしてあります。もちろん法人化しなければ、介護保険事業はできませんしね。

それと組織の運営ルールや会計処理がオープンになり、財務の明朗化も進みました。正直言って、初めの頃は複式簿記の何たるかも知らなかった。貸方が右、借方が左…え! 何ですかという有様(笑)。会計事務所に勤める会員の方から、簿記のイロハを教わったのです。ようやく慣れたところ。会計用のソフトも使い勝手のいいように改良しました。

ただ、課題はあります。介護保険にかかわる会計処理は極めて明瞭ですが、助け合い活動の部門については長年の思いといきさつがあり、数字だけでは割り切れないところが残っています。ルールも違います。その部分をどうやって透明化していくか、試行錯誤の日々が続くと思っています。

 

 

 

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