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たしか九三年、名古屋で福祉フォーラムが開かれ、堀田力さんの講演を聴いてから局面は変わりました。当時は「さわやか福祉推進センター」でしたが、自分のかねて考えていたことと重なり、初めて有償ボランティア活動に対する確信が持てたのです。貴重な出会いでした。

 

一種の御用聞き商法です

 

会員数も増え、事業規模も年々拡大していますね。収支決算では一九九五年度の三四九万円から九九年度には一九四四万円まで成長しているのは、介護や家事援助の社会化か進んだということでしょうか。利用者の反応はどうですか?

 

どんどん手を広げてきましたが、最近喜ばれているのは配食サービス。配食数はまだ少ないのですが、薄味にしていますので、お年寄りには好評。

ただ、私たちが考えているのはお仕着せのサービスを画一的に提供するのではなく、高齢者の家庭を回って、どういうサービスが求められているかを肌身で感じ取り、それを汲み上げて事業にしていこうという姿勢です。まあ、一種の御用聞き商法というのでしょうか(笑)。

 

なるほど、サービスの原点は生活の現場にありというわけですか。ところで、介護保険制度では、会のボランティア活動は「枠外サービス」になるのでは…。

 

そうだと思います。それはそれでいっこうに構わない。要介護の認定を受ければ、当然さまざまな身体介護サービスを受けられるわけですが、それはお年寄りの介護・介助・支援・生きがいづくりのほんの一部でしかない。問題は「自立」と認定された人の中にも、日常生活でサポートを必要としている人も多いし、リハビリひとつにしても専門知識を持った人の指導が求められています。要は「楽しく、元気で、長生きできる環境をどうして整えるか」が大事なのではないでしょうか。若い世代の人に自分の知恵を授けるのも、お年寄りの生きがいにつながっているし、会のイベントに通うのも心身のリハビリに役立っているでしょう。

 

さて、NPOの資格を取得して、介護サービスも始められたわけですか、そちらの方はどうですか?

 

以前から自分たちの仕事としてこの分野に進出したいと考えていました。だからボランティア部門と事務スペースを分け、有資格者を揃え、会計処理も分けて、がっちり取り組んでいます。具体的に言いますと、二〇〇〇年四月から九月までの半年間の収支は、介護保険に伴う収入が一〇八四万円、ボランティア活動や会費、補助金などの収入が八九四万円、合計一九七八万円。一方、同期間の支出は一七一四万円です。収支は黒字で、最低の人件費は払えるようになりました。

 

 

 

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