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介護の社会化をすすめるために市民はどのような選択をするのか?

 

介護保険の認定者の出現率は、多くの自治体で一〇%から一二%と見込んでいる。もとより、介護保険はこの制度を使わずに済む多くの人がいることを前提に成り立つ制度であり、高齢者自身も所得に応じた保険料を負担することが社会保障システムとしての介護保険の原則だ。

そんな中、前号の本誌特集でも緊急リポートした通り、昨秋から低所得高齢者の介護保険料を減免する市町村が相次いでいる。六五歳以上の介護保険料について、日本経済新聞社の調べでは全国二七三市区町村が条例などで独自の減額・免除規定を設けているという。また、全額免除し一般財源を投入するという市町村は愛知県碧南市をはじめ二三自治体に及び、減免を独自の財源でカバーするという自治体を含めると三五自治体になる(碧南市高齢介護課調べ・二〇〇〇年一〇月現在)。

碧南市の例でいえば、保険料率の第一段階に属する人と、年間収入額(収入から控除を引いた額)が四二万円以下の生計困難者を全額免除の対象とし、昨年九月の議会決定を経て条例を改正した。「第一段階の老齢福祉年金受給者も年間収入額が四二万円以下の人も実質的には生活保護受給者と同じ経済状況であり、これらの人には何らの補助もないため減免の対象として妥当だと判断した」というのが碧南市の考え方だ。

今のところ対象者は、第一段階の老齢福祉年金受給者が一九人、収入額四二万円の人が四〇〜八○人で、最大一〇〇人を見込んでいる。後者の該当者を確定できないのは、収入には非課税の遺族年金なども含まれるため、市では把握しきれないためだ。

 

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いきいき館のデイサービスに来た名田庄村のお年寄り。

 

 

 

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