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一般財源から充てられる保険料の最大予算は、二〇〇〇年度は一人当たりの保険料六〇〇〇円の一〇〇人分で六〇万円、翌二〇〇一年度は一八○万円、年間を通して全額を徴収する二〇〇二年度から二〇〇四年度は二四〇万円である。

市ではチラシを作って保険料の減免について広報すると共に、第一段階の該当者には電話で手続きを促すなど「該当する人全員に適用したい」と語る。厚生労働省はこうした動きに「保険料免除は介護保険制度の本来の趣旨に反する」と警鐘を鳴らしてきた。一方で事実上一定のルールづくりが必要として、全額免除や一般会計からの繰り入れ穴埋めをしないなどの条件を付けて、より慎重な判断を求めている。低所得高齢者への配慮はもちろん行政として必要である。しかしたとえば第二号被保険者(四〇歳〜六四歳)の人たちにも生活が苦しい人はいる。彼らは六五歳になるまで制度利用はほとんど不可能だが、それでも払い続けなければならない。

減免が安易に広がれば、住民からの圧力も減り中には本来必要な態勢を整備してこなかった自治体の責任も隠れてしまう。自治体が財政的な配慮を行ってくれるのなら、もっと総合的な観点から別に負担を軽減する策を住民も一体となって知恵を絞って考えていくのはどうだろう。

予想もし得なかった超高齢社会への幕開けとして、二一世紀がスタートした。介護保険はそんな中で新しく始まった制度であり、運営を任される自治体側の苦労も多いだろう。その苦労が“本物”なら、それをしっかりと住民に公開すればよい。選択肢を示し、あるいは逆に市民から提言を受けて、その意向のもとに、より地域に合った制度へと一歩一歩改善していくことが望まれる。

二一世紀は日本における「市民社会」の幕開けでもある。介護保険制度に関して噴出している現在のさまざまな問題は、まさにその試金石といえるだろう。

さて、あなたは自分の保険料をどう思いますか?

 

 

 

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