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「利用者にとって、介護保険で給付されるサービスは、生活支援サービスの一部にしか過ぎません。ということは、介護保険の対象となる居宅サービスメニューだけでなく、有償ボランティアの家事援助や散歩の付き添い、話し相手などのサービスをケアパッケージとして一体的に提供しなければ、利用者の生活全体を支えることはできない。そうした形で、制度のすき間を埋めることも、私たちの担うべき役目なのかなと思っているんですよ」

たとえば、要介護の母親を抱えた娘さんが入院をすることになったというケースでは、犬の散歩をする人がいなくなることが大きな問題になった。たかが犬の散歩とはいえど、その人たちにとっては犬も大切な家族の一員。そこで、二時間のホームヘルプのうち一時間を介護保険で、残りの一時間を有償ボランティアで犬の散歩に充てることにしたという。また、一人暮らしのおじいさんの家には枠内事業で介護と家事援助に入りながらも、枠外部分で庭木の手入れをし、さらにまったくのボランティアで、読み損ねた新聞記事を探してあげたりもするそうだ。

「私たちの活動の基本精神は“困ったときはお互いさま”。ですから、たとえ採算面でしわ寄せを受けても、かゆいところに手が届くような総合的な在宅福祉サービスを提供していきたいと思っています。NPO団体の場合、サービス提供者になるか利用者になるかは紙一重ですからね。事実、私も要介護の母を抱えながらも、他団体のお世話になりながらこの活動を続けている。利用者本位の質の高いサービスの提供は、自分たちのためでもあるんですよ」

 

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三級研修

 

 

 

 

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