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まず、会の題名にあるように「NPO優過税制」は「支援税制」「促進税制」という視点で考えるべきだと提言。二一世紀の日本の大きな支え手となるNPO活動。実態は萌芽の段階であったとしても、それを着実に育てる手立てをつくるのが官の役目であると主張した。

また、争点となる「公益性の基準」として具体的には、1]市民の立場からの客観的な指標をつくる(市民や社会からの反対給付を求めない支援が一定比率以上あることを審査)、2]徹底した情報公開の義務づけ、3]財産の私的な流用の禁止など、を明確にし、そのチェックとして4]一定期間ごとに基準の再審査、5]違反者には罰則を設けることなど他、を提言した。

なぜ政治家や官僚が消極的かといえば、所得控除により国の収入(税金)が減ることもさりながら、その税金分が、自分たちのあずかり知らないところで使われ、これまで独占してきた税金の使い方についての判断権(国家公益独占主義)が崩れることへの反感があるからといえる。

二一世紀の公益の実現はもはや官だけでは立ち行かないはずだ。前述の有識者会議最終報告書でも「ボランティアやNPOの活動の重要性はこれまで以上に大きくなり、社会保障を補完する大きな役割を担ってくることは確実である」と指摘している今、市民もこれを分担するのは時代の趨勢であろう。

市民側も「大丈夫です。任せてください」と自立して責任を持つ覚悟が求められる。そもそもNPO活動は世間の人たちの支援がなければ立ち行かない。おかしなことをすれば支持を失い、団体は自然に消滅せざるを得ない。つまり、存続自体が公益性の証明といえるのである。

さて、税制優遇が我々が望むように法制化されるかどうかはまだまったく闇の中だ。法案提出には内閣提出議案と議員提出議案の二通りがある。後者の場合は、衆議院で二〇名以上、参議院で一〇名以上の賛同者があればよい。時間的な観点から、今後は議員立法を目指して活動していくことになるだろう。ただし、それを可能にするのは市民の声であることに変わりはない。

二一世紀、あなたはどんな社会を選択するだろうか?

 

 

 

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