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その検討の期限が二〇〇〇年十一月末。そこで前述の堀田理事長の発言となり、他の団体とも連携しながら“何としても真に実のある法律を”と現在も関係各所に強力な働きかけを行っている。

攻防の争点は大きく二つ。

1] 「寄付者」へ…NPOに寄付した金額を所得控除の対象とする。

2] 「団体」へ…日々の事業活動に対する法人税などを軽減する。

アメリカなどでは当然に行われている優遇策であり、特に1]は、これにより団体への寄付が促進し活動の安定化につながる。しかし大蔵省(現財務省)や経済企画庁(現内閣府)など関係省庁はなかなか首を縦に振らない。その最大の論拠とするところは、「NPO法人の実態がよくわからない」という点だ。それと併せて「公益性の基準とその担保の仕組み」をどうするかが問題となっている。なるべく多くの団体に税制優遇を広げたい我々とほんの一握りにとどめたい官とのせめぎ合いである。

実はNPO法見直しを担当する経済企画庁(現内閣府)にNPO制度委員会が設けられ、一九九九年六月以降一〇回にわたり協議が行われ、昨年すでに中間報告が出されている。その委員も兼ねていた堀田理事長は「あまりに説得力がなく、委員の意見の大勢とも違う」として、それでも報告書づくりを進める行政側に神奈川新聞紙上で公開の質間状を掲載、一部で話題となった。賛否両論、さまざまな意見が出たが、「それもすべて含んだ上ですよ(笑)」(堀田理事長)と敢えて確信犯としてでも風を起こさなければならなかったほど、実は水面下では行政の判断は消極的だったのである。

他の市民団体も活発な活動を展開する。特にシーズ(市民活動を支える制度をつくる会)ではNPO議員連盟とも連携し、ホームページでもキャンペーンを張っている。さらに昨年八月、さわやか福祉財団でも共に連携して「NPO促進税制に関する有識者会議」発起人会を発足させて財界、マスコミ、学識者などの賛同者を募った。そして十一月一〇日(金)、「NPO活動を促進するための税制実現に向けての提言―新しい世紀に『新しい公共』を創造するために―」とした提言書を、宮澤喜一大蔵大臣・堺屋太一経済企画庁長官宛提出した(肩書はいずれも当時。関連→ニュース&にゅーす特別版付録)。

 

 

 

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