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人は誰も、最後まで可能な限り自立して尊厳を持って生きていきたい。国民の不安を和らげ、そうした人としての当然の思いに現在そして将来にわたり応えていくための方策が望まれるのだが、今回はそこまでの長期的視野に立つことはできていない。

もちろんここに掲げた内容にも賛否両論があるだろう。今回この会議を取り上げたのは、その存在を知ってもらい、十人十色の意見がある年金・医療・介護などの社会保障政策をもう一度我々も考えてみようという提案である。幸い、毎回の議事録が首相官邸のホームページで公開されている(URL→http://www.kantei.go.jp/jp/syakaihosyou/index.html)。各委員の立場からの応戦があってなかなかおもしろい。この報告書を受けて政府はこの春をメドに「社会保障改革大綱」を策定する方針を固めた。

確かに、私たち国民も「応分の負担」は覚悟しなければならないだろう。しかし、官僚による調整だけではこの難局を乗り切る大胆な改革は不可能だ。あとは自分たちの「国のかたち」をどうしたいのか、政局が不安定な今だからこそ、逆にしっかりと政治の行く末を評価していくのが、まず私たちにできる第一歩だろう。

 

NPOは市民公益の代表

―NPO優遇税制はなるか?

 

さて国の制度づくりといえば、つまりは「法律」づくりである。その過程を絵にたとえると、前述の有識者会議は、いわば鉛筆のデッサンが終わった状態。ところどころぼけてはいるが、とにかく描かれる絵の基礎はできた。そのまま色を選んで完成させていくこともできるし、あるいは線を消して書き直すこともあり得る。従って法制化へはまだまだ長い道のりがある。

その一方、まさに今私たち市民、特にボランティア活動などを行っている団体に非常に影響のある議論が最終局面を迎えている。「NPO優遇税制」である。

 

 

 

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