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石川 あまりやっていないんじゃないですか(笑)。少なくとも私が会う多くの人達の中で、やっている人は少ないですね。言葉としては簡単ですが、実際にどうやるかというのが問題なんですね。これまでだって、結局はお互いに押し付け合って、安心していたところがあるでしょう。

堀田 以前から私どもで提唱してきましたが、今回世間が教育改革に注目している中で、改めて「社会貢献教育、ボランティア体験学習の実施」を強く提言していくつもりです。小中学校では教育として社会貢献の必要性を地域との交流体験などを通じて教えていく。その経験をもとに高校生では自発的なボランティア体験学習につなげていってもらえるようにですね。

石川 そうですね、地域社会と結んで実施していけば結構なことができるかもしれないと私も期待しているんです。小野田さんが時々南米から帰って来て日本で若者のキャンプのような活動もしているようですね。学校を出てある期間を一緒に過ごす、そうした体験は人間性の教育にとても役に立つんじゃないでしょうか。何らかの組織ができて、そうした活動を公正に広めていけるととてもいいんですが、学校だけでやろうとすると問題がまた噴出する気がします。

堀田 おっしゃる通り、地域を交えて受け皿となる仕組みをいかに上手につくれるか、それが新たな時代の具体的課題となるのでしょう。「奉仕の義務化」という言葉を管理教育的な感覚で捉えられたら非常に危険ですが、一方で、うまく地域で受け継いで自然に人間性に目覚めさせるような活動になれば大変なプラス効果ともなります。ぜひいいプログラムになるように私どもも協力してやっていきたいと思っています。

石川 戦後の教育や経済発展の中で自己中心主義が大きくなってしまいました。二一世紀となって新たな社会を考える時、もう一度「人は一人では生きていけない」、この意味をみなで考えるところから始まるのだと思います。社会の中の自分、世界の中の日本、それをしっかりと自覚して互いに幸せを感じ合えるグローバルな秩序づくりが二一世紀の大きな課題だと思います。

 

 

 

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