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堀田 本当にそう思います。国民の意識もずいぶんと変わってきたように思うのです。昔は何でも政府にやってもらえと、でも消費税のアップなんて絶対反対とかでしたが、最近は介護保険にしても必要な負担ならしますよと。そこまで進んできましたから。

石川 まず自分でできることはやるという気持ちが大事なんですね。これは本人の生きがいという意味でもそうだと思うのです。それと行政の介護保険とは別に、これからはいわば「心の介護」をどうシステム化するのか。その部分で民間の力はとても大きいですし、不可欠なものだとみなで認識していくことが必要ではないでしょうか。

 

二一世紀に求められる教育とは?

地域と一体となった社会システムづくり

 

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堀田 もう一つ、二一世紀の日本ということで改めてお伺いしたいのは、若い人たちへの教育についてなのですが、自己中心的発想が強いといわれる若い人たち、彼らへの人間性の教育をどう社会として行っていけばいいとお考えですか。「教育改革国民会議」の報告なども出されていろいろと議論されていますが。

石川 教育改革国民会議が小・中学生、高校生の奉仕活動の義務化等を打ち出していろいろな反響を呼んでいますが、あれは実は昔からしきりに言われていることで、今更新しいことではないんですけどね。だから総論としては悪いことだとは思いませんけれども、しかし、「奉仕活動の義務化」としてその意味が子供に本当にわかるかというと疑問も感じます。

堀田 そこが一番むずかしいところだと私も思うのです。執筆を担当された曽野さんの言わんとするところは理解できるのですが、ただ世の中には「奉仕の義務化」と聞くと、単に「押し付けてやらせればいい」と非常に強圧的に考える人たちもいます。それでは絶対に子供たちにやさしい気持ちなど伝わらないし、反発させるだけです。「なかなかいいことだし、やり甲斐もある。遊ぶのとは別の清々しい喜びがある」、そんな感情を与えられるうまい導き方を、先生だけでやろうとせずに、地域の人も一緒になって行っていくこと。だいたい大人自身が奉仕活動をしているかどうか…。

 

 

 

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