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石川 やはり民間の協力が不可欠になってくるのでしょう。

堀田 心の問題までも入ってくるわけですから、とても政府の力だけでは無理ですね。それを考えても、二一世紀の高齢社会を乗り切っていくためには、とりわけ若い人たちの支え、そのための意識付けが必要となります。彼らが納得できる将来像をどう描いて、どうそれを築き上げていくのか。その道をはっきりと示さないと彼らだって将来に希望を持てませんから。

石川 そうですね。概念的に私が申し上げるとしたら、「みなで覚悟しよう」ということですね。国が全部をやるなんて到底できるわけがない。だから高齢者も、どこまでやってほしいか、どこまでなら文句を言わないか、そこをはっきりと覚悟すべきです。同時に国家は今おっしゃられたように若い人の立場がありますから、若年世代の立場に立ってどれだけ使えるかを明確に示す。その上で「保険ができればすべて大丈夫なんだ」という甘い感覚ではだめだということ、若い時からその準備、努力をしながら老後に至ること、それも若年世代にはっきりと示す必要があるんじゃありませんか。

堀田 覚悟をするためには現実の状況を認識してもらう必要がありますね。今の若い世代の立場で考えますと「自分たちは非常に過大な負担をさせられて、でも自分たちは支えてもらえないのではないか」、そんな不安が強いでしょう。私は、こうしたいびつな人口構成は長い目でみれば一時的な現象ですから、その間は、国有財産を売るとかいろいろな特別措置を取ってでも税金を入れて支えるべきだと提言しています。そんな将来像をしっかり示して説得すれば、若者も納得できるのではないかと。ただ、政府がなかなかそこまでの見通しを立てられない。非常事態なのですから特別措置を取るべきだと強く発言してはいるのですが。

石川 それはおっしゃる通りだと思います。国家予算の組み方を見ても、私は本当は今のお話のような事象が死活問題で、沢山お金を使ってもいいと思うけれども、どうも政府はそう考えない。

堀田 目先のことばかりのような気がして本当に残念です。

石川 国が安定する基礎というのは何も軍備ばかりじゃありません。身近な生活、福祉などの面で国民生活が安定したら、それは大変な力になるんですね。

 

 

 

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