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豊富のなメニュー、ホームに活気

横浜市の郊外にある特別養護老人ホーム「さくら苑」は、寝たきりゼロの施設として知られる。ここのみなさん、はつらつとしていますね。

 

ホームを開いて一七年目に入ったところですが、いつも満員。入所者は七〇人で、六五歳から一〇二歳まで。平均年齢は八三歳です。ほかにショートステイも常時一〇人います。対応するスタッフはヘルパー、栄養士、看護婦、生活指導員など四七人。ボランティアは、年間延べ四〇〇〇人に達するでしよう。

 

みんなで街に出かけたり、ファッションショーや音楽教室など盛りだくさんのメニューですね。カナダやオーストラリアの老人ホームに来ているようで…。

 

ボランティアのみなさんのお陰で、イベントは充実してきました。私は初めから「介護だけを目的としないホームづくり」をめざしてきたのです。心身に障害があるといっても、お年寄りは一人の人間として生きているのですから、その誇りを尊重して、一人ひとりに向き合っていくことが何より大切です。

 

身体介護だけではダメ

外へ出かけるのも、刺激になっていいでしょうね。

 

遊びは大事ですよ。「空とぶじゅうたん活動」がそれに当たります。みんなでマイクロバスに乗って、よく都心や箱根の温泉に出かけます。すし屋、居酒屋、一流のレストランへ繰り出して、思いっきり楽しむ。酒もたばこも自由です。

中にはカナダのナイアガラの滝まで足を延ばした人もいました。七〇歳直前の男性で、「生きているうちにナイアガラを見たい」と。その方は旅行の二年後に亡くなりましたが。死を迎える瞬間まで、その人の願いをかなえ、支え続けていく…。金と手間はかかります。ワリに合わないかもしれないけど、こういったことをこれからは介護保険制度の枠内でやっていかねばならないと思っています。

 

ところで、入居者の要介護認定は済みましたか?

 

三月初旬までに五〇人の認定が終わりました。要介護度のランクからいえば、要介護4がいちばん多く三分の一、次いで2、5の順でした。私自身、ケアマネジャーの資格を持っているのですが、当ホームの認定について発言権はないのです(笑)。

 

 

 

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