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厚生省は「認定が進めばばらつきは少なくなる」としている。

また、自立支援・介護予防対策が遅れている市町村は、「自立高齢者」からのクレームを恐れて要支援や要介護に“格上げ”する傾向がある。

 

気になる個別ケースのばらつき

気になるのは、「病状や心身の状態は同じくらいなのに、なぜあの人のほうがうちのおばあちゃんより要介護度が高いの?」「なぜ病気の妻が『自立』で、妻を介護している夫の私が『要支援』になるのか?」といった目に見えるばらつきだ。その原因は認定に必要な調査員による訪問調査の結果を処理するコンピュータソフトの完成度が低いこと。また、高齢者や家族からの調査員の聞き取り方が悪かったり、高齢者が調査の趣旨を十分理解できすに普段より元気に振る舞ったりして、不適切な情報が入力されることがあるからだ。痴呆の高齢者は訪問調査時にたまたま痴呆の症状が出ていなかったりすると低く認定されがち。かかりつけ医の意見書の書き方によっても要介護度は左右される。

要介護認定は、高齢者の病状や心身の状態が重ければ要介護度が高くなり、軽ければ低くなるというものではない。どれだけ介護の時間がかかるのかを見極めるシステムだ。ばらつきのない要介護認定ができるかどうかは、総合判断する介護認定審査会の力量にかかっている。この点もよく理解した上で、不本意な認定結果が出た時にあなたの住む市町村に再審査してもらえる仕組みが整っているがどうか、それもしっかりチェックしよう。

 

厚生省がまとめた全国の要介護認定比率(1999年12月末現在)

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上の数字は全国平均だが、朝日新聞や読売新聞の調査では、都道府県によって要介護度ごとの認定の割合にばらつきがあることがわかっている。

 

 

 

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