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市外の事業者も指定対象にしたのは介護産業の誘致と育成が狙いである。指定事業者は東久留米市生活支援事業者協議会を結成し、サービスの評価、情報提供、ケアマネジャー、苦情処理の四委員会を設けてサービスのレベルアップに取り組む。

このために投じる二〇〇〇年度の事業費は約三億円。その四分の三は国と都からの補助金で賄う予定である。

 

国の対策を先取りした東久留米方式

一九九八年の末に準備に着手。九九年一〇月から開始した要介護認定の訪問調査員が介護保険の調査と自立支援・介護予防のための調査・情報収集を同時に実施して、同年十二月には自立支援会議の運営マニュアルを作成。今年一月には市内外の事業者に事業指定の要綱を示すなど着々と体制づくりを進めてきた。介護保険と連動し、行政、事業者が一体となって介護予防に取り組む先駆的なこのシステムは東久留米方式と呼ばれて全国の市町村から注目され、同市に資料提供を求めた市町村だけでも五〇〇に達するという。東久留米方式の骨子は今年三月七日、厚生省が都道府県に指示した「介護予防・生活支援事業実施要綱(素案)」を先取りしている。むしろ国が東久留米方式を下敷きにして要綱をまとめた格好である。

 

全国の二倍の超ハイスピードで進む高齢化

国連によると六五歳以上の人口比率(高齢化率)が七%を超えたら「高齢化社会」、一四%以上になると「高齢社会」と呼ぶ。わが国のそれが七%から一四%になるまでにかかった年月は二四年。欧米諸国の二〜五倍という猛烈なスピードである。ところが東久留米市の場合、六・九%(一九九〇年)から一四・〇%(二〇〇〇年)までに要した年月はわずか一〇年。世界一のスピードで高齢化する日本全体の二倍という驚異的な速度で高齢化が進行する。こうした危機感が同市を介護予防に駆り立てているのである。

九八年十二月、東久留米市の介護保険担当者は東京都足立区、品川区、稲城市、千葉県流山市など首都圏の福祉先駆自治体の担当者と共に厚生省に呼ばれ、介護予防・自立支援システムをつくるよう促された。同時にスタートした自治体の中で東久留米市が大きくリードした理由は危機感だけではない。

 

 

 

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