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「ヘルパーが来ないと生活できない人なんですね」

「ヘルパー以外の他者とはかかわりがありません」

「食事は好き嫌いが激しいので配食サービスはだめ。ヘルパーに好みを言って食事を作ってもらっています。だからヘルパーの訪問回数を増やさないと…」

委員たちの感想と意見が一通り出そろったところで「これでも自立なんだね」とコメントを漏らしていた司会者がテキパキと支援方針をまとめていく。

「この方は1のBですね。健康状態を見守りながら訪問指導をしてお風呂に入るように持っていき、ヘルパーの訪問回数を増やしましょう。生活支援の内容はしばらくモニターしてから決めましょう。はい。では次のケースに行きましょう」

 

一回で一〇〜二〇ケースを

「1のB」とは東久留米市の自立高齢者の分類。この男性の生活形態が「独居老人」で身体状況が「健康不安」という分類に該当するという意味。2は「老人世帯」、3は「家族のいる老人」だ。またAは「動作能力等の減退」、Cは「痴呆の疑い」のある人である。

東久留米市は、要介護認定審査会で「自立」と判定された高齢者は片っ端からこの自立支援会議にかけて、一人ひとりその人にふさわしい在宅高齢者生活支援対策をまとめて担当ケアマネジャーにその結果を通知する。ケアマネジャーはそれに基づいて本人の同意を得ながら必要なサービスを組み合わせた“ケアプラン”を作る。この日は八ケースを処理したが「多い日は三時間で二〇ケース」(介護福祉課)にもなる。二〇〇〇年度はおよそ一六〇人の「自立高齢者」にサービスを提供することになると見られている。

 

NPOも指定事業者に

提供するサービスは国の介護予防・生活支援事業に盛り込まれたサービスメニューから選んだ1]配食2]生活支援ホームヘルプ3]リハビリ4]生きがいデイサービスの四つ。これらのうち二つのサービスを一人一か月当たり四万八〇〇〇円の枠内で組み合わせて提供する。

サービス事業者は株式会社、社会福祉法人からNPOも含む市内外の指定事業者合わせて四〇事業者。サービスごとの発注価格は一定とし、サービスの質や内容に工夫を凝らした提案書を事業者から提出させ、それを市が審査して指定事業者を決めた。

 

 

 

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