毎週水曜日、市庁舎の六階601会議室に市の介護、福祉、保健担当部門、社会福祉協議会、三つの在宅介護支援センターから担当者が集まって「自立高齢者」の一人ひとりについて生活実態と健康状況を検討し、必要な生活支援と介護予防サービスの種類と量を決めている。
この日の検討ケースは一〇件。その様子をチョッピリ紹介しよう。こんな具合である。
七六歳の男性について介護福祉課の担当者がケースの概要を次のように読み上げる。「体調不良、疲労感あり。過去二回の脳梗塞。一人暮らしでヘルパーが訪問しています。通院以外は外出しません。本人は緊急通報サービスを望んでいます」
「ゆっくり動くなら日常生活に支障はないのですね」と別の委員が調査表を見ながら指摘する。
「ただ自宅の浴槽をまたぐことができないので、週二回ヘルパーが来た時にシャワー浴をしているだけです」
「掃除もできないのね」
「かかりつけ医の意見書には脳梗塞のほか高血圧も。腰椎滑り症でしゃがみ込みはできないとあります」