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介護保険の要介護認定が「自立」になった人も、いつ何どき介護が必要な状態になるかわからない。東京の東久留米市は「自立高齢者」のためにいち早く自立支援会議を設け、民間活力を動員して「介護予防」体制を整えた。

 

「自立高齢者」は寝たきり予備軍

介護保険の給付を受けようと要介護認定の申請をし、調査をしてもらったら、判定は「自立」。すなわち介護保険下では、「あなたには介護は要りません」と“宣告”されてしまったらどうなる? 今までヘルパーに来てもらったり、デイサービス(日帰り介護)に通ったりしてきた人も、「自立」なら介護保険で同様のサービスは受けられなくなる。また、心身の不安を感じて新たに介護サービスを申請した人もそれはかなわない。認定に対する不安や不満が、制度のスタートと共に各地でわき上がっているが、特に「自立」と判定された高齢者にどう対処するかが、介護保険制度下での大きな課題となっている。

「自立高齢者」は寝たきり予備軍なのだ。介護保険制度を円滑に動かすためにも、高齢者が寝たきりなどの要介護状態に陥ったり、状態が悪化しないようにしたりすること(介護予防)や自立した生活を続くように手助けすること(生活支援)が欠かせない。

そうした観点から、国は二〇〇〇年度予算で「介護予防・生活支援事業」を創設した。市町村は国が示したサービス・メニューの中から地域の実態に合わせて必要なサービスを選んで実施。国は市町村の高齢者人口に応じて補助金を出す。利用者の自己負担金は介護保険サービスと同様に費用の一〇%だ。この国の方針に先んじて、いち早く「自立」支援に取り組んだ自治体が、東京のベッドタウンの一つ、東久留米市(人口一一万三〇〇〇人)だ。

 

自立支援会議を毎週開く

介護保険を目前に控えた二〇〇〇年三月初め東久留米市役所を訪れ、その自立支援・介護予防システムの要となる自立支援会議をのぞいてみた。要介護認定審査会で「自立」と判定された高齢者の生活状況、介護実態、健康管理などについて総合的に検討し、必要ならば「自立高齢者」のためのケアプランを作成する段取りをつける会議だ。

 

 

 

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