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NPOの活動が認められるためには結果を出すのみ

そして六年目に入った今年、「さわやか愛知」はNPO法人として、新たな一歩を踏み出そうとしている。この四月から始まる介護保険事業への参入を決めたのである。

「参入するかどうかについてはずいぶん悩みましたが、そうこうしているうちに利用者の方がどんどん認定されてきて、うちのサービスを利用したいとおっしゃる。そういう声が聞こえてくると放っておけなくなってしまいましてね。もちろん私たち自身も年を取り、いずれ利用者になることを考えたら、やはり自分たちの団体にやってもらいたいと思い、踏み切りました」

その決断に対して、ある市会議員から「さわやか愛知はお金もうけ団体だと思われてるよ」と指摘を受けた時は、さすがにショックだったというが、NPOの活動がまだまだ世間的に理解されていない証拠と受け止め、決意も新たにしたという。

「六年前、有償のボランティアを始めた時だって風当たりは強かったのが、今は認められてきている。だからもう何も言わない、結果だけを見てと、思ってます」

前向きな人なのである。そんな川上さんに、最後にこれからの目標を聞いてみた。

「私も含めて、今、活動をしている仲間たちが、利用会員として、ここでたむろをしながら、昔話に花を咲かせるような場所にすること。年老いた時に、自分たちが大手を振って、後輩に手伝ってよと言えるようなね」

そう言ってとびっきりの笑顔を見せたその一瞬、数十年後背中の丸くなった白髪の川上さんが幸せそうにソファに腰掛けている姿が見えた気がした。ふれあい社会の実現は、自分たちのためでもあるのだと、改めて教えられた。

 

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託児所を手伝ってくれているのは高校生。会員は高校生から高齢者まで幅広い。

 

 

 

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