逆に人の手を借りないと行動できなくなってしまうケースなどもあるという。「借り物だからとりあえず」では、本来の自立と逆行してしまうケースすらある。
福祉機器は手抜きのために使うのではなく、本人の残存能力を生かして、より自立した生活につなげていくためのもの。どんな機器をどのように使うかもまた、介護する側のやさしさであり愛情の一つなのである。
在宅介護支援センターや病院・介護ショップで相談・購入
ちょっと自分も考えてみようかな、そう思ったあなた、さて、どうやって福祉機器を手に入れますか? これまでは、だいたい病院や施設等を通じて手に入れていた人がほとんどだろう。いざ自分で一から買おうとするとなかなかむずかしい。最近ようやく、デパートなどでも福祉機器や介護用品のコーナーが少しずつ設置されるようになったが、基本はまずは医療関係の人に相談するのが妥当だろう。直接福祉機器の販売はしていないが、リハビリの先生などは専門的な知識や情報を持っているケースが多いので、相談相手になってもらえる。ただし、病院の出入り業者の取り扱う商品しか紹介してくれないケースがあるのでご注意を。
その他身近なものとしては、福祉機器の選定・使用にかかわる助言や商品情報の提供機関として、介護実習・普及センター(都道府県・制令指定都市)や在宅介護支援センター(市町村)が全国に設置されている。ここは医療や福祉の専門家が常駐し、介護用品も展示されているので、使用方法についてのアドバイスも受けられるが、展示品の数がそう多くはないのが難点だ。
独力で各メーカーの商品を見比べたいなら、自治体等が作っている大型展示場や、各地で開かれる福祉機器の展示会に積極的に参加するのもいい。多数のメーカーが出展していて担当者から直接説明を聞ける上、新商品の情報もいち早く知ることができる。質・量ともに最も充実しているのは毎年秋に東京・有明で開催される「国際福祉機器展(HCR)」。九九年は出典企業五四三社(うち海外一一〇社)で、福祉機器は二万五〇〇〇点が展示された。