これらのサービスは、たとえば家事援助とか給食サービスとか、手話通訳とか美術館案内とか、ある程度定型化して組織的に提供される。そのため、サービスを受ける側は、提供者と特別な関係になくてもそのサービスを受けることができる。しかも、提供者は営利を目的としていないから、市場や行政のサービスの場合よりも、温かい人間関係が結ばれるのが通常である。
D 地域通貨を使って得るサービス
ここ十年ほどの間に世界の先進諸国で自然発生的に広がっている地域通貨は、ふれあい切符やタイムダラー(Time dollar アメリカ)のように、愛情の論理に基本を置くものから、ヴィア銀行(WIR-Bank スイス)やイサカ・アワー(Ithaca Hour アメリカ)などのように、かなりの部分資本(通貨)の論理に立脚しているものまで、多様である。共通している特徴は、富の蓄積機能や信用供与の機能をほとんど持たないことと、地域の人々の人的関係を前提にしているということである。
E 市場又は行政が提供するサービス
市場と行政とでは、サービスコストの負担者は異なるが、サービスの特徴は、ほぼ同じである。生活に必要なモノの提供はもちろん、教育から介護、医療まで、われわれの生活の大きな部分が、市場と行政によって与えられている。