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老いの住まい NO.1

本間郁子

 

家族から見た介護保険

孤独や不安が和らぐような温かい介護を

 

介護保険がいよいよスタートした。特養ホームにおいても、5年間の特例措置が適用されるといっても、ぎりぎりまで基本的なことが決まらず、施設側も入居者・家族も不安を抱いてのスタートとなった。

ある特養ホームに痴呆の母親(98歳)が入居している家族(79歳)は、母親の介護認定は要介護4と判定され、介護保険料の負担や利用者負担額が増えるのは納得できるが、介護職員が減らされるというのは納得できないという。

この特養ホームは、3月まで入居者1.8人に対して職員1人だった。それが介護保険スタートとなる4月からは、入居者2.5人に対して職員1人になった。それでも、介護保険制度での職員配置基準、入居者3人に対して職員1人よりも手厚くなっている。このホームは、これまで重度の痴呆の人を積極的に受け入れてきた。夜勤の職員を増やし、その人に合った排泄援助を行い、その成果も実ってきたところであった。しかし、このような介護をいつまで続けられるか不安があり、今後は、人手不足から重度の痴呆の受け入れを見合わせることもあり得るのだという。

母親が高齢になり、いつ看取りの時を迎えてもおかしくない年齢になった。今望むことは、最期まで人間の尊厳を失わずに送ることができるかということだ。

 

 

 

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