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会員の狩野多美子さんは、10年ほど前に東京から移り住んで来た一人。桐生の街にどうしたらなじめるか」と思い、「かるがもの会」に参加した。関口フミ子さんは、この3年ほど、ほとんど毎回参加している。「子供たちの真剣に取り組む姿勢に教えられることが多い」と言う。また、同じく会員の張本夕加里さんは、「今日は会社を休んで来ました。福祉の仕事に就きたかったので、この活動に参加している」と声も弾む。冒頭の彦部さんは、ボーイスカウトの指導や、県のボランティア普及委員など、幅広く地域に眼を向けている行動派だ。道理で話がうまいはずである。

いよいよ体験学習が始まった。子供たちは、車イスの班とブラインドウォークの班に分かれて、校外に出て行く。そして、タイミングのよい「かるがもの会」の会員のアドバイスを受けて、どんどん車イスの操作やブラインドウォークのサポートがうまくなっていく。「計画は学校が立てたが、実施に当たっては「かるがもの会」がポイントを押さえてくれるので安心して活動することができた」と菊池秀雄校長。一方「かるがもの会」の人たちも、「今回は、会員の参加者が少なかったが、十数人の保護者が協力してくれました。家庭の中で親子の話題にもなるので、保護者の協力はありがたい」と喜んでいた。

「かるがもの会」の人たちは、教育や福祉のプロであった人たちではない。自分たちが役に立てることに生きがいを感じ、活動しているうちに、学校や保護者との信頼が自然に築かれていった。「かるがもの会」、学校、保護者、三位一体の活動で子供たちに思いやりの心が育っていくのを感じた。

 

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校長先生と共に子供たちも必死に車イスの介助体験

「かるがもの会」の人が率先してブラインドウォークを実践、子供たちへの体験学習を手ほどきしている。

 

 

 

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