心と教育 学校の新しいかたち
親が歩けば子も歩く
体験学習ボランティア『かるがもの会』の協力を得て
群馬県桐生市立菱小学校
(取材・文/有馬正史)
「みなさん、思いやりというのはね、誰にも迷惑をかけないことなんですよ。だから、足りないところがあればそこだけを手伝えばいいんです。足りない以上に手伝うと自分で何にもしなくなり、かえって迷惑をかけてしまいます」
桐生市立菱小学校の体育館で4年生78名全員がこれから校外に出て、車イスとブラインドウォーク(目隠し歩行)の体験学習を実施しようと整列して座り、「かるがもの会」の彦部雪夫さんの話をじっと静かに聞いている。2月1日、総合的な学習の時間の先取り学習として初めての試みである。
菱小学校では、総合的な学習の時間を「地域を生かして」というテーマで取り組みたいと考えている。4年生の担任の先生3人は、子供たちが自然に人に接することができるようになってほしいと、冬休みの間に計画を考え、桐生市ボランティアセンターに相談した。
そこで、「かるがもの会」を紹介されたのだ。
1996年、桐生市ボランティアセンターが、障害と共生について理解してもらおうと車イスとブラインドウィーク体験を指導する活動を開始。それをきっかけに、「かるがもの会」が設立され、活動を受け継いだ。現在、会長の小林敦子さんのもと、20名の会員がいる。要請があればどこでも引き受けようということで始めた活動だが、学校からの依頼がだんだん増えているという。1999年度は学校だけで18回もの体験学習の要請が来た。「2002年度から施行される総合的な学習の時間に向けて、試行的な体験学習が増えてきたためでしょう。会員数は少ないが学校に限らず、要請があれば応じていきたい」と小林さん。菱小学校のニーズにぴったり合うグループだった。