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常磐道建設反対から始まった住民運動

「六段階区分は三〇年近くかけて培ってきた市民と行政と議会とのパートナーシップによって実現しました」。こう語るのはNPO法人の千葉県第一号となった「流山ユー・アイ ネット」代表の米山孝平さんだ。

三〇年の歴史は、静かな住宅地に突然降ってわいた常磐自動車道の建設反対運動と重なる。米山さんが住む流山市東初石地区のど真ん中を貫通して常磐自動車道が建設されることになったのは一九七一年の暮れ。なけなしの貯金をはたいてマイホームを求めた多くのサラリーマン家庭にとっては、静かな生活環境が破壊される一大事だった。住民はすぐに「流山の生活環境を守る会」を結成、建設反対の運動に立ち上がった。米山さんはその中心的存在だった。

昼間は家にいない夫たちに代わって、道路公団による強行作業の阻止行動に出たのは妻たちで、地域を挙げての反対運動は一〇年余り続いた。この間、「守る会」は市議会にメンバーを送り込んで審議内容をオープンにし、請願や陳情など地方自治法に明記されている住民参加の手法をフルに活用して行政を巻き込んだ運動を展開した。

現介護支援課長の石原さんは、当時、流山市職員組合の委員長。米山さんら住民と行政の間でパイプ役となって、住民が要望する公害を出さない地下道方式の工法の実現に奔走した。

 

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99年12月19日、流山市文化会館で開かれた介護保険シンポジウムの様子。(右上/眉山俊光流山市長、右下/石原重雄流山市介護支援課長、左上/米山孝平流山ユー・アイ ネット代表、左下/堀田力)

 

 

 

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