日本財団 図書館


今度の介護保険でも、たとえば介護度5なら約三五万円のお金が使える。今まで在宅で三五万円も使える方はお金持ちだけだったでしょう。給食サービスや見回りサービスを組み合わせても相当なサービスが受けられますし、施設は在宅の拠点としての役割で、半分くらいはショートステイが増えることになるかもしれません。

堀田 本人にとっても行政にとっても従来の施設のありようはさまざまな問題を含んできました。私どもはこれからの時代はグループホーム、特に、痴呆対応型だけじゃなく元気な段階から一緒に暮らしていくふれあい型のグループホームを推進していこうと活動していますが、京極先生はどうお考えですか?

京極 グループホームですとか、そうした小規模の共同生活型施設は私も賛成です。日本では施設収容主義という言葉があって批判されたりするけれども、小規模施設は別なんですね。今まで施設でがんばってこられた方には怒られそうだけれども、これも二一世紀の新しい福祉の形ではないですか。福祉は利用者本位であるべきだと私は強く思います。供給者のために制度がつくられてはいけない。そう考えると在宅重視は当然の流れで、苦情処理、情報提供、後見人制度の整備なども併せて進めていかないといけません。

堀田 そうですね。成年後見制度は、ようやく民法が改正されで発足しましたが、足腰が固まるのは、まだこれからです。各社会福祉協議会さんの地域福祉の動きともうまく連携すれば、私は財産管理は決してむずかしいとは思わないんですよ。使わずに持っているのはそんなにむずかしくない。問題は本人のため、身上介護のためにどう使うかなんですね。後見人となる人が福祉の資源、サービスを知らないとうまく使えないし、家族との関係の調整のむずかしさもあります。法律と福祉の連携が不可欠ですね。

京極 幸い司法書士や社会福祉士会の方が熱心に動いているので、この専門職団体が軸になってそうした課題を検討しながら進めていってほしいと私も期待しているんです。

 

010-1.jpg

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION