これを施設の種類別にみると、「特別養護老人ホーム」が98施設(同84.5%)、平均退職者数3.3人、「身体障害者療護施設」が22施設(同71.0%)、平均退職者数3.2人となっている。施設の規模別では、やはり規模の大きい施設ほど退職者がいた施設の割合が高くなっている。施設設立後年数別では、特に際立った点は見受けられない。
「特別養護老人ホーム」に限ってみると、退職者がいた施設は98施設(同84.5%)と、8割以上の施設で退職者がおり、採用についてと同様に、規模の大きい施設ほど退職者数は多くなっている。「寮母(父)」の退職者の1施設当たりの最小値、最大値をみると、最小値は1人であるのに対し、最大値では「50人以下」の規模、設立後「10年以上20年未満」で16人であり、4月1日現在の在職者数26人の70%弱に相当し、その数値は非常に大きいものといえる。(第17表参照)
(2) 退職理由、勤続年数、退職年齢
直接処遇職員の退職者がいたと回答した施設について、重ねてその理由及び退職時の勤続年数、年齢階層について調査した結果は、以下のとおりである。
1] 退職理由
退職の理由で最も多かった回答は「転職」で、72施設(回答があった施設全体の44.7%)であった。次いで「結婚」が53施設(同32.9%)、「定年」が36施設(同22.4%)の順であった。これらの理由以外では「出産」(28施設・17.4%)、「家庭と仕事の両立が困難」(27施設・16.8%)、「病気・けが」(27施設・16.8%)、「仕事の適性がなかった」(24施設・14.9%)などの回答が多い一方で、「交替制など勤務時間が不規則」等の勤務条件を理由とした回答や「利用者とのトラブル」といった回答は少ない。これらの理由の回答が少ない原因は、退職者本人に対する調査ではなく、回答者(施設管理者)が把握し得た範囲内での回答によるためであろうか。
これを施設の種類別にみると、「転職」についてはいずれの施設においても高い割合であったが、「(重度)身体障害者授産施設」及び「養護老人ホーム」では「結婚」の割合が、「知的障害児施設」及び「特別養護老人ホーム」では「定年」の割合が低く、「(重度)身体障害者授産施設」及び「養護老人ホーム」では、「出産」、「家庭と仕事の両立が困難」、「病気・けが」及び「仕事の適性がなかった」といった理由についていずれも低い割合であった。このように施設によって退職理由に差が生じていることについては、概には言えないが、各施設における直接処遇職員の年齢構成や勤務内容といったことが要因として大きく影響しているものと思われる。
なお、実地調査で、ある施設長の話を聞いたところによると、「1年間で8人の退職者がおり、いずれも賃金など労働条件の良い施設を求めて退職していった」とのことで、労働条件の良否も職員の定着性に影響しているのではないかと思われる。
施設の規模別にみると、規模が大きいほど「転職」、「定年」の割合が高く、また、「50人以下」の施設で「上司・同僚等との人間関係」が、「101人以上200人以下」の施設で「家庭と仕事の両立が困難」、「仕事の適性がなかった」の割合が全体より高かったことが注目される。施設設立後の年数別では当然のことではあろうが、設立時期が早いほど「定年」の割合が高くなっている。